死ぬまでに飲みたい!おすすめオールドヴィンテージワイン

【 時代を越えて受け継がれるオールドヴィンテージワインを飲んだ方々の体験談をご紹介しています 】

【私の人生を変えた一本のワインNo.3】シャトー・タルボ1985

f:id:expc_fukuoka:20200327073354p:plain

【シャトー・タルボ1985】

私の人生を変えた一本のオールドヴィンテージワイン

 この『死ぬまでに飲みたい!おすすめオールドヴィンテージワイン』ブログにお越しいただき、ありがとうございます。

 突然ですが、あなたには「人生を変えた一本のワイン」がありますか?大切な人と一緒に記念日に飲むワイン、尊敬する人に薦められたワインなど、あなたにとって特別なワインは何か?

 ではなく、、、

 本当にそのワインがきっかけで人生を変えたワインをインタビューしてご紹介するシリーズです。それぞれの「人生を変えた一本のワイン」をご紹介しています。

本日インタビューしたのは、この方

守屋真衣さん(ヨガインストラクター)

岡山のヨガインストラクター。ヨガ×狩猟×プロトコール。 子どもたちから『超絶!憧れる大人増産計画』を着々と進行している。子供が生まれたことをキッカケに、大手食品会社の製品開発を退職。「自然こそ美しい」とオーガニックを愛していたが、ヴィンテージワインと出会ったとこで「美しさ」の概念が変わった。

①人生を変えた一本のオールドヴィンテージワインは、何ですか?

f:id:expc_fukuoka:20190627072200j:plain

シャトー・タルボ1985

EXPLORERS CLUB兵庫地区主催のワイン会で飲んだ『シャトー・タルボ1985 』34年前のワインです。

※シャトー・タルボ(Chateau Talbot)とは?

シャトー・タルボ(Chateau Talbot)は、凝縮しつつもなめらかなスタイルは、まさにボルドーワインの優雅さと偉大さの典型。

所有するブドウ畑の面積は「107ha(ヘクタール)」と、メドック地区でも2番目の大きさを誇っている。タルボはボルドーでは唯一、手摘みで収穫されたブドウを、余分な水分を飛ばすために温風の出るトンネルをくぐらせる。元来ピーチなどのデリケートなフルーツに施されてきた手法である。

15世紀のイギリス統治時代にサン・ジュリアン一体をタルボ将軍が治めていた。タルボ将軍はイギリスの歴史の中でも名将として有名で、シェイクスピアの「ヘンリー6世」にも出て来る、英国人にとっては歴史上の英雄です。

これが名前の由来で、1453年にカスティヨンの戦いで敗れた、イギリス人のギィエンヌ総督、英軍指揮官タルボ将軍、シュルベリー伯爵にちなんだもの。

※1985年(昭和60年)の出来事

日本の内閣総理大臣は、自由民主党中曽根康弘氏。

男女雇用機会均等法が成立。群馬県御巣鷹の尾根に墜落した『日航ジャンボ機墜落事故』もこの年。初の日本人宇宙飛行士誕生し、携帯電話の先駆けとなるショルダーフォン(NTT)も登場。

ファミコン用ソフト『任天堂スーパーマリオブラザーズ』が発売され空前の大ヒット。ヒット曲はチェッカーズの『ジュリアに傷心』で、映画では『ゴーストバスターズ』がランキングNo.1になっている。

 

②そのオールドヴィンテージワインをどう愉しまれたのですか?

f:id:expc_fukuoka:20190627111331j:plain

シャトー・タルボ1985

 参加者は、男女7人。私は、ヨガのインストラクターで自然やオーガニックを愛するため、芳香剤や香水など人工的な香りが好きではありません。それゆえ、フレグランスなど好んで付けませんでした。私が好んで選んでいたのは、お野菜の煮える香りなどの自然な甘い香りでした。

 そういった意味で、この「シャトー・タルボ1985」は、私が今まで香ってきた人工的に作られた強烈な香りでもないですし、今まで慣れ親しんだ自然な香りでもない。しかもオールドヴィンテージワインに関わるのは初めてでしたので、この「シャトー・タルボ1985」に出会ったのは衝撃的でした。

 

 もともと大手食品会社の製品開発をやってきたので、人工物の香りは「こういう香りを作る」と意図して作られていることを知っています。そして、間違いなく「シャトー・タルボ1985」も造り手が意図して作られています。しかし、タルボは人の手がかかった芸術作品だと思いました。例えば、同じように『薔薇』をイメージして作られている香りでも、CHANELのフレグランスと芳香剤とは、全く違います。

 私が、それまで慣れ親しんできた香りは「お野菜の煮える香りなどの自然な甘い香り」か「芳香剤のような強い香り」という2つ。この2つの選択肢しかなかったので、自然派の優しい香りが好きだと勘違いしていましたが、好きではなく”選ぶしかなかった”んですよね。だから「自然派がいい」とか、「ありのままがいい」と言ってました。

 

 初めて”好き”と思えた、この「シャトー・タルボ1985」の繊細な香りは、今まで飲んできたワインの香りとは全然違っていたんです。抜栓した瞬間に甘い芳醇な香り。軽くて甘いワインだと予想していたのですが、一口目を口に含んだ時の印象は、土の味を感じ、畑をイメージさせる重低音が響くような、ズッシリくる重み感じました。

 私は重いワインに苦手意識がありましたが、数分ですが少し時間経って、もう一度口に含んでみると、スッキリとしたシャープな甘さを感じました。重低音から中低音サウンドくらいの軽さに変わった感じがして、そのギャップに、すごく引き込まれる魅力的なワインでした。

 

 参考までに、ワイン評論家のロバート・パーカー氏は、この「シャトー・タルボ1985」を89点と評価しています。

1985年のタルボは1982年ものを小型にしたようなワインであり、現在、飲むのにはうってつけである。色は非常に深みがあり、熟した、豊かなベリーのような香りがあり、しなやかで肉付きがよく、ミディアムボディである。たっぷりとした果実味があり、フィニッシュはなめらかで優雅で、すばらしくバランスがよい。

ロバート・パーカーボルドー第3版」より引用】

 

③シャトー・タルボに出会って、人生変わったことや、気付きなどありますか?

f:id:expc_fukuoka:20190627082027j:plain

 もともと大手食品会社の製品開発をやってきた私にとっては、味や香りの品質は一定で「変わらないもの」というのが常識でしたので、「シャトー・タルボ1985」が時間と共に、こんなに味や香りが変化するというのが驚きでした。衝撃でした。

 今まで私が関わってきた食品は、すべてが同じでなければなりませんでした。同一品質が必要であり製品にストーリーなんて必要ありませんでした。しかし、「シャトー・タルボ1985」は、それとは真逆で、人の手や想いが加わり、それぞれ一本一本のボトルに34年間生きてきたワインの歴史やストーリーがあります。

 そして、私たちがタルボを抜栓して口にできるというのは、まさに奇跡じゃないですか。人の想いがなければ、この味や香りを愉しめなかったと思うと。同じ口にするものなのに、想いのかけ方が全く違うということに気が付きました。そういう飲み物があるということに感動しました。

 

④シャトー・タルボ1985を異性に例えると?

  シャトー・タルボ1985を異性に例えると、ジョージ・クルーニーでしょうか。深みのある顔立ちの中にある甘さ。そして、渋みのなかにあるチャーミングさ。何もかも知っているような、まっすぐな眼差しに見つめられると、最高の自分であろうとする。まさに、美しさを引き出してくれる恋人ですね!

 

⑤タルボに出会う前の守屋さんにとってワインとは?

 当時の私にとってのワインは、『酔うためのツール』でした(笑) お酒は好きだったので、居酒屋に同僚や友達と行っていましたが、味を感じるのは最初の一口程度で、お酒を愉しむというより、酔うためにお酒を飲んでいました。

 

⑥今の守屋さんにとって、ワインとは?

『美しさを引き出してくれる恋人のようなもの」だと思います。

 長い年月、愛情をたっぷりと注がれたからこそ、こうして出会うことができたワイン。その香り、味わいは、もっと豊かに表現したい欲望に駆られます。ワインの香り、味わいは、私をエスコートしながら、「美味しい」ではなく「美しい」の奥深さを教えてくれました。だからこそ、そのワインに相応しいもっと美しい女性になろうと!意識まで変わっています。

 

⑦これからオールドヴィンテージワインを愉しむ人に向けて

『ワインに恋をする』

 私は、これに尽きると思っています。私はワイン通になりたいわけではありません。ワインと愉しみたいので、そのワインの背景を、好きな人を知るように調べると、より愛おしく、豊かにワインを愉しめます。例えば、、、

  • 出身地は?
  • どんな環境で育ったの?
  • どんな人があなた(ワイン)のことを好きになったの?
  • え!?映画にでたことあるの?
  • それは、どんな場面?、、、などなど(笑)

 ワインの香り、口に含んだとき、お互いの答え合わせをするような、何とも言えない甘い時間になります。ぜひ、ワインに恋をしてみてください。

f:id:expc_fukuoka:20190627073329j:plain

シャトー・タルボ1985

 

●【最後に 】

f:id:expc_fukuoka:20200327060139p:plain

 インタビュー記事中に出てくるエクスプローラーズクラブが主催するワイン会は、一本のオールドヴィンテージワインだけを10名ほどのメンバーでじっくり愉しみ、知識や感想を共有し、お互い学びを得ながら上質で美しい時間を形成する会です。福岡地区のワイン会はインタビュアーでもある山下が開催しています。

 EXPLORERS CLUBでは、全国に地区(支部)があり、地区でのワイン会を開催しています。

 メンバーになると全国で開催されるワイン会にもご参加いただくことが可能です。EXPLORERS CLUB 福岡では不定期ですがクラブメンバー以外の方にもご参加いただけるオールドヴィンテージワイン会を開催しています。

 こちらの申し込みフォームにご登録いたただきますと『次回の開催案内』をメールにてご連絡させていただきます。

 EXPLORERS CLUBの『詳細&ご入会』はこちらです。

 

<<Explorers Club は2020年11月に解散しました。>>