死ぬまでに飲みたい!おすすめオールドヴィンテージワイン

【 時代を越えて受け継がれるオールドヴィンテージワインを飲んだ方々の体験談をご紹介しています 】

【私の人生を変えた一本のワインNo.13】シャトー・ムートン・ロートシルト1985

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【シャトー・ムートン・ロートシルト1985】

私の人生を変えた一本のオールドヴィンテージワイン

 この『死ぬまでに飲みたい!おすすめオールドヴィンテージワイン』ブログにお越しいただき、ありがとうございます。

 突然ですが、あなたには「人生を変えた一本のワイン」がありますか?大切な人と一緒に記念日に飲むワイン、尊敬する人に薦められたワインなど、あなたにとって特別なワインは何か?

 ではなく、、、

 本当にそのワインがきっかけで人生を変えたワインをインタビューしてご紹介するシリーズです。それぞれの「人生を変えた一本のワイン」をご紹介しています。

本日インタビューしたのは、この方

まるや ゆういち さん(フォトグラファー)

大工さんから転身した異色のフォトグラファー。フォトグラファーとして著名人など1000人以上の撮影実績を重ね、撮影講師としても500名以上の生徒さんがいる。

 

①人生を変えた一本のオールドヴィンテージワインは、何ですか?

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シャトー・ムートン・ロートシルト1985
※シャトー・ムートン・ロートシルト(Château Mouton-Rothschild)とは?

シャトー・ムートン・ロートシルト(Château Mouton-Rothschild)は、1973年メドック第2級から第1級に格上げされた驚異のシャトー。1853年から世界屈指の大財閥ロスチャイルド家の一つが経営し、絶大なブランド力を誇る。

1924年、他のグラン・クリュのシャトーに呼びかけ、それまで業者に行わせていたワインの瓶詰めを「シャトー元詰め」で行い始めたシャトーである。

ムートン・ロスチャイルドのワインラベルは、毎年、時代を象徴するアーティストの作品を鑑賞でき世界中のワインラヴァーを愉しませている。

ジョアン・ミロ(Joan Miró)、マルク・シャガール(Marc Chagall)、ジョージ・ブラック(Georges Braque)、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)、アントニ・タピエス(Antoni Tàpies)、フランシス・ベーコン(Francis Bacon)、サルバドール・ダリ(Salvador Dalí)、ジェフ・クーンズ(Jeff Koons)、そしてイギリス・チャールズ皇太子殿下(Charles, Prince of Wales)。

※1985年(昭和60年)の出来事

日本の内閣総理大臣は、自由民主党中曽根康弘氏。

男女雇用機会均等法が成立。群馬県御巣鷹の尾根に墜落した『日航ジャンボ機墜落事故』もこの年。初の日本人宇宙飛行士誕生し、携帯電話の先駆けとなるショルダーフォン(NTT)も登場。

ファミコン用ソフト『任天堂スーパーマリオブラザーズ』が発売され空前の大ヒット。ヒット曲はチェッカーズの『ジュリアに傷心』で、映画では『ゴーストバスターズ』がランキングNo.1になっている。

 

②なぜ、シャトー・ムートン・ロートシルト1985なのですか?

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シャトー・ムートン・ロートシルト1985

 私が、シャトー・ムートン・ロートシルトを飲みたかったんです。やっぱりロスチャイルド家の所有する畑ですし。憧れというか、ワインのエチケットが毎年、色々なアーティストが書いているのが特徴的で、見るだけでも非常に愉しいんです。ちなみに1985年のエチケットは、ポート・デルヴォー氏が、少女達が、葡萄の房を眺めている姿を描いていています。面白いでしょ?

 

③どのような抜栓だったのですか?

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シャトー・ムートン・ロートシルト1985

 今回は、EXPLORERS CLUBメンバーが、フランスのラギオールで購入してきたソムリエナイフで抜栓をやりました。実は、このラギオールのソムリエナイフは、スクリューの部分が少し太いんです。ですので、丁寧にゆっくりと行うように心がけました。新しいワインだと、コルクもしっかりしているので、心配することはないのですが、1985年のワインコルクですので。

 

 実際、キャップを開けたときに、コルク表面にはカビがあり、スクリューを入れたときも、ス〜ッと入って行きましたが脆さを感じて、ゆっくりゆっくりとスクリューを入れていきました。コルクの弾力性があまりなくてスルスルと入って行ってしまうんです。コルクを引き上げるときに千切れてしまうと思ったので、なるべく負荷をかけないように最新の注意を払って、まっすぐスクリューを通すことを意識して行いました。

 

 しかし、コルクを三分の二くらいまで引き上げたところで、コルクの残り二割くらいを残して折れてしまったんです。残ったコルクがワインの中に落ちてしまうとマズイので、ゆっくりゆっくりとスクリューを差し込み、抜栓再開。まっすぐ垂直に上げていきました。抜栓した後というのは、1985年の空気と2019年の空気が混ざり合うんです。だから私はワインを”タイムカプセル”のように思ってます。

 

 香りについては、濃い芳香なアロマではなかったですが、オールドヴィンテージワインらしく、私にとっては「かすれた赤色のアロマ」だったんです。薄くなったルビーのような。私は香りに色を感じるんです。

 

④サーブのときはどうでしたか?

 サーブのときは、ワインを注ぐというのではなく、感覚としてはワイングラスに移し替えるという感じです。ボトルの中のタイムカプセルが分散されていくわけです。ですので、サーブするときに、ジョボジョボ入れると空気が混じってしまいます。それがないように、グラスを横に傾けて移し替えました。

 そして、ボトルの上・中・下の部位によっても、ワインの味は変わると思うんです。だから、上の部分をサーブするときは、今この瞬間でしか味わえない上の部分を味わって欲しいと思いながらグラスに移し替えました。

 

⑤一口目の感想は?

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シャトー・ムートン・ロートシルト1985

 芳醇な香りとかではなくて、ある意味、枯れた葉っぱのような味わいでした。例えば、芳醇な香りが深緑だとすると、もうだいぶん水分も抜けて、カラッカラになる直前くらいで、僕のイメージでは”かすれた感じ”なんです。熟しきった後という感じでした。なので、味もアロマも少し薄くなっているものの、1985年から静かに静かに眠ってきた液体が変わっていく、散り際みたいなものを感じました。

 確かにピークは過ぎていたものの、枯れてゆく切なさというか、いろんなものを演じきった後の最後の味わいだったような気がします。1985年の葡萄は、もともとそんなに良い出来栄えではなかったとのことですが、今回のシャトー・ムートン・ロートシルト1985には、最後に僕らの体の中で消化されて、僕らのストーリーとして一生語り継がれていくワインにしてあげたいと思いました。

 

 参考までに、ワイン評論家のロバート・パーカー氏は、この「シャトー・ムートン・ロートシルト1985」を90+点と評価しています。

シャトーではこの1985年を自分たちの1959年に似ていると言っているが、私には1962年か1953年ものに近いような感じがしている。豊かで複雑で、よく発達した、東洋風のスパイス、トーストしたようなオーク、ハーブ、熟した果実の香りがするブーケはすばらしい。

口に含むとワインもまた豊かで外交的で、余韻が長く、セクシーだ。これはオー・ブリオンとシャトー・マルゴーの1985年のすぐ下にランクされる。これほど熟してすっかり飲めるようになっているとは、驚きである。

大柄で、大胆な構造のムートンを探している方は、ほかのヴィンテージを見た方がよい。これはおとなしい、外交的な、もうじき成熟する中量級のワインだから。あと15年以上はもつと思われる。

ロバート・パーカーボルドー第3版」より引用】

 

⑥これまでのまるやさんにとってワインとは?

 私は日本酒が好きでしたので、ワインは赤いものと、白いものがあるってことしか知りませんでした。でも日本酒もワインも醸造酒なので、私にとってはすごくとっつきやすいものでした。

 

⑦今のまるやさんにとって、ワインとは?

 タイムカプセルです。私自身ワインが好きなんです。自分でもワインセラーやグラスを購入しました。ワインは、日常を豊かにする飲み物ですね。ワインはすごく繊細な飲み物で、保管とか気を使いますが、だからこそ美味しいワインはその時にしか飲めない。

 そして、ワインはワイン好きの人との共通言語ですから、ワインが好きで通じ合える瞬間ってありますね。

 

⑧これからオールドヴィンテージワインを愉しむ方に一言

 ワインが好きな人と一緒に飲んでほしいです。ワインを詳しくなるというのは、ものすごく大事なことだと思いますが、逆にそれがとっかかりにくい部分だと思うんです。

 ワインに詳しい人と一緒に飲むのは、すごく勉強になりますので大事なことだとは思いますが、私はワインを知っている人より「ワインが好きな人と一緒に飲む」というのがいいと思います。

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シャトー・ムートン・ロートシルト1985

 

●【最後に 】

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 インタビュー記事中に出てくるエクスプローラーズクラブが主催するワイン会は、一本のオールドヴィンテージワインだけを10名ほどのメンバーでじっくり愉しみ、知識や感想を共有し、お互い学びを得ながら上質で美しい時間を形成する会です。福岡地区のワイン会はインタビュアーでもある山下が開催しています。

 EXPLORERS CLUBでは、全国に地区(支部)があり、地区でのワイン会を開催しています。

 メンバーになると全国で開催されるワイン会にもご参加いただくことが可能です。EXPLORERS CLUB 福岡では不定期ですがクラブメンバー以外の方にもご参加いただけるオールドヴィンテージワイン会を開催しています。

 こちらの申し込みフォームにご登録いたただきますと『次回の開催案内』をメールにてご連絡させていただきます。

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