死ぬまでに飲みたい!おすすめオールドヴィンテージワイン

【 時代を越えて受け継がれるオールドヴィンテージワインを飲んだ方々の体験談をご紹介しています 】

【私の人生を変えた一本のワインNo.15】シャトー・マルゴー1985

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シャトー・マルゴー1985】

私の人生を変えた一本のオールドヴィンテージワイン

 この『死ぬまでに飲みたい!おすすめオールドヴィンテージワイン』ブログにお越しいただき、ありがとうございます。

 突然ですが、あなたには「人生を変えた一本のワイン」がありますか?大切な人と一緒に記念日に飲むワイン、尊敬する人に薦められたワインなど、あなたにとって特別なワインは何か?

 ではなく、、、

 本当にそのワインがきっかけで人生を変えたワインをインタビューしてご紹介するシリーズです。それぞれの「人生を変えた一本のワイン」をご紹介しています。

本日インタビューしたのは、この方

浦山 幸純(トム)さん

福島エステート株式会社 代表取締役。ブログ「ハイパービジネスマン養成講座」運営。2019年モナコ公室主催『薔薇の舞踏会』出席。

 

①人生を変えた一本のオールドヴィンテージワインは、何ですか?

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シャトー・マルゴー1985

2019年3月に、EXPLORERS CLUB 主催のワイン会で飲んだ『シャトー・マルゴー1985(Château Margaux) 』34年前のワインです。

シャトー・マルゴー(Château Margaux)とは?

シャトー・マルゴー(Château Margaux)は、格付け一級で、ボルドー五大シャトーのなかでもエレガントで最も女性的なワインと評され「ワインの女王」と呼ばれる。1855年の格付け当時から五大シャトーの先頭を争う高貴なワイン。

1810年に、フランスでは珍しい「メドックヴェルサイユ宮殿」と称されるネオ・パラディアン様式の城をボルドーの建築家 ルイ・コンブが建設。

ルイ15世の愛妾デュ・バリー夫人、「レ・ミゼラブル」作者の小説家ヴィクトル・ユーゴーアメリカ第3代大統領トーマス・ジェファーソン、イギリス初代首相ロバート・ウォルなど、各界の著名人に寵愛されていたワイン。

ノーベル賞を受賞した文豪ヘミングウェイは、あまりにもマルゴーを愛し過ぎて、その名を孫娘に「マーゴー(マルゴーの英語読み)」と付けた。その美しい名の孫娘は、映画女優にまでなった。

※1985年(昭和60年)の出来事

日本の内閣総理大臣は、自由民主党中曽根康弘氏。

男女雇用機会均等法が成立。群馬県御巣鷹の尾根に墜落した『日航ジャンボ機墜落事故』もこの年。初の日本人宇宙飛行士誕生し、携帯電話の先駆けとなるショルダーフォン(NTT)も登場。

ファミコン用ソフト『任天堂スーパーマリオブラザーズ』が発売され空前の大ヒット。ヒット曲はチェッカーズの『ジュリアに傷心』で、映画では『ゴーストバスターズ』がランキングNo.1になっている。

 

②なぜ、シャトー・マルゴー1985を選ばれたのですか?

 オールドヴィンテージワインは、他にも飲んだことあるのですが、抜栓して自分の手で開けたオールドヴィンテージワインは、この「シャトー・マルゴー1985」が初めてで、その経験が自分の中で人生を変えるに値するワインだったと思っています。だから「私の人生を変えた一本のワイン」に選びました。

 

③どのような抜栓だったのですか?

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シャトー・マルゴー1985抜栓

 昨年、EXPLORERS CLUB 主催の同様のワイン会に参加した時、「カロン・セギュール1966」の抜栓にかなりの時間がかかっていたのを目の当たりにしていたので、オールドヴィンテージワインの抜栓は難しいということは理解していました。

 そして今回は、いつかやってみたいと思っていた抜栓役に指名されました。普段から使っているマイ・ソムリエナイフを持参して臨みました。まずは、キャップシールを剥がすところから始めるのですが、ただ剥がすのではなく美しく剥がすことを意識すると途端に緊張しました。

 

 キャップシールを剥がし終わったら、瓶の外側からソムリエナイフのスクリュー部分の長さとコルク部分の長さを比較し、スクリュー部分を貫通させないようにするには、どれくらいまでコルクに刺せるかを確認。

 そして、いよいよスクリューをコルクに刺していきます。コルクのど真ん中を狙って刺したのですが、少しずれているとのアドバイスを受け、一旦元に戻して再度刺してスクリューを回し始めます。オールドヴィンテージワインのコルクなので「硬くてスクリューも回しずらいのかな?」と事前に予想していましたが、意外なほどコルクは柔らかくすんなりとスクリューを回すことができました。

 

 あまりにも回しやすいので、「これはこのマルゴーに受け入れられているな!」と思ったほどです。そして最後のところまでスクリューを回し終わり、いよいよコルクの引き上げにかかります。どの程度、力を入れて引き上げれば良いのか、良く分からないまま手探り状態で上げようとするのですが、全くコルクが動く感じがありません。

 「あれ?さっきは受け入れてくれてたんちゃうの?」とラブラブモードだった彼女(マルゴー)に急に冷たくされた男性のような気持ちになりました。混乱を沈めつつ力を加え続けていると、突然手応えがあり3mmほどコルクが持ち上がりました。

 おお!やった!と思っていると、他の抜栓経験者から「急すぎる!もっとゆっくりやらないとコルクにダメージがかかりすぎるよ!」とアドバイス。なるほど、と思いゆっくりゆっくりを心がけていましたが、それでもまだまだ早かったようで、

  • 「もっとゆっくり!」
  • 「1分間で1mm持ち上げる感覚で!」
  • 「コルクを真上に持ち上げる力を途中で止めずに加え続けるように!」

などのアドバイスを送り続けてくれました。

 

 コルクが1/3くらい持ち上がった頃でしょうか、かなりコツがつかめた感じになりました。それでも、ちょっと気を抜くとコルクを真上ではなく左右に振る感じになってしまうので、見守ってくれている側の参加者から「左右に振らない!」と何度も声をかけてもらいました。

 そうしてもうすぐコルクが全て持ち上がりそうな状態になり、ようやくコルクがボトルから離れたその瞬間「ポンッ」という音がしました。これまで何本もワインのコルクを開けてきましたが、こんな音は耳にしたことがありません。

 スパークリングワインを空ければ「ポンッ!」と威勢の良い音がしますが、今回のシャトー・マルゴー1985の音は「ポンッ」でした。この「ポンッ」という音は、私にはこのシャトー・マルゴー1985が人に飲まれる状態として、この世に二度目の”生”を受けたことを知らせる音のような気がしました。その音を聞いて、赤ん坊を取り上げた助産師さんのように、新たな”生”をこの世にもたらす手伝いができた幸せな気分を味わえました。

 

④一口目、飲んだ感想は?

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シャトー・マルゴー1985

 実際に飲んでみた感想は、最初の一口は結構酸味があり、あっさりした感じで、まだ若いかな?と思いました。一年前に「カロン・セギュール1966」を飲んだのですが、その時の印象に比べると、味に深みというかインパクトが少ないという印象を受けました。

 しかし時間を置いて少しずつ味わっていくと、だんだんとカドが取れてまろやかになり、味に深みを感じるように。ポンッいう音と共に生まれた瞬間は、まだ若い女性だったのが、少しずつ大人の女性に成長していくような変化を感じました。

 

 参考までに、ワイン評論家のロバート・パーカー氏は、この「シャトー・マルゴー1985」を94点と評価しています。

このワインが若い頃はずっと過小評価していた。テイスティングし直すたびによくなっている。1986年、1983年、1982年のマルゴーほど力強くも凝縮味もないが、魅力は上で、今のところ、そういう内向的なヴィンテージたちよりも複雑だ。

色は健康的な暗いルビーから紫。熟したブラックペッパー、カシスの果実にトーストしたような新樽の香り、花の香りが入り混じった、気のそそられるノーズ。そして、豊かで広がりのあるビロードのような舌触り。

この数年で余韻が長くなり、味わいにも幅が出てきた。前から驚くほど近づきやすく、楽しめるワインだったが、私の想像以上に個性と品質を備えてきたようだ。この20年間に生まれた最もおいしくて贅沢なマルゴーの一つである。

ロバート・パーカーボルドー第3版」より引用】

 

シャトー・マルゴーがきっかけで、人生どのように変わりましたか?

 ワインという、人ではないものに対しても、人と変わらないように接するようになりました。例えば、昔の私であれば、食事のお箸やナイフやフォークを準備する時、雑に置いていましたが、丁寧に置くようになったり。モノだけでなく、自分の人生に対して丁寧に生きるようになりました。

 元々、雑な面もありましたが「シャトー・マルゴー1985」の抜栓をきっかけに、すべてのヒトやモノやコトに対しての感謝や、万物を愛するということに繋がりますが、丁寧に接する、丁寧に生きるという意識がものすごく芽生えました。

 

⑥どんな風に愉しまれたんですか?

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シャトー・マルゴー1985

 希少なワインを抜栓でき、そして味わえたことも良かったですが、抜栓前に参加者全員でシャトーマルゴーについての知識をシェアできたことは、とてもとても良かったです。例えば、「映画『失楽園』の最後のシーンで使われていた」とか、「小説家であるヘミングウェイがマルゴーを好きすぎて孫娘にマルゴーという名を付けた」などのエピソードをシェアすることによって、マルゴーについての知識も深まります。

 

ただ飲むだけではなく、知識も深めながら飲むというのは、すごくいいですね。

 

 インターネットで検索すれば、いわゆるワイン会というものが、そこかしこで開催されているのが分かりますが、EXPLORERS CLUBが主催するワイン会ほど、希少なオールドヴィンテージワインが、かなりのお手頃価格で、しかも参加者が成長できる。そんなワイン会はないと、皆の発表内容を聞いて痛感しました。

 

⑦これからオールドヴィンテージワインを愉しむ方に一言

 できれば、希少なオールドヴィンテージワインをみんなで集まって、そのワインについて事前に調べてきて、みんなでシェアしながら飲むというのをオススメします。

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シャトー・マルゴー1985

 

●【最後に 】

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 インタビュー記事中に出てくるエクスプローラーズクラブが主催するワイン会は、一本のオールドヴィンテージワインだけを10名ほどのメンバーでじっくり愉しみ、知識や感想を共有し、お互い学びを得ながら上質で美しい時間を形成する会です。福岡地区のワイン会はインタビュアーでもある山下が開催しています。

 EXPLORERS CLUBでは、全国に地区(支部)があり、地区でのワイン会を開催しています。

 メンバーになると全国で開催されるワイン会にもご参加いただくことが可能です。EXPLORERS CLUB 福岡では不定期ですがクラブメンバー以外の方にもご参加いただけるオールドヴィンテージワイン会を開催しています。

 こちらの申し込みフォームにご登録いたただきますと『次回の開催案内』をメールにてご連絡させていただきます。

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