死ぬまでに飲みたい!おすすめオールドヴィンテージワイン

【 時代を越えて受け継がれるオールドヴィンテージワインを飲んだ方々の体験談をご紹介しています 】

【私の人生を変えた一本のワインNo.22】シャトー・タルボ1985

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【シャトー・タルボ1985】

私の人生を変えた一本のオールドヴィンテージワイン

 この『死ぬまでに飲みたい!おすすめオールドヴィンテージワイン』ブログにお越しいただき、ありがとうございます。 

  突然ですが、あなたには「人生を変えた一本のワイン」がありますか?大切な人と一緒に記念日に飲むワイン、尊敬する人に薦められたワインなど、あなたにとって特別なワインは何か?

 ではなく、、、

 本当にそのワインがきっかけで人生を変えたワインをインタビューしてご紹介するシリーズです。それぞれの「人生を変えた一本のワイン」をご紹介しています。

 本日インタビューしたのは、この方

林 信隆さん(資産形成アドバイザー)

世界最高峰の舞踏会 モナコ公室主催『薔薇の舞踏会』4年連続出席。ビックバンドオーケストラのトランペッターとして、モナコ公国で開催されオテルドパリ公演出演。フェラーリオーナー。

 

①人生を変えた一本のオールドヴィンテージワインは、何ですか?

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シャトー・タルボ1985

2015年5月、EXPLORERS CLUB主催のワイン会で飲んだ『シャトー・タルボ1985 』34年前のワインです。

※シャトー・タルボ(Chateau Talbot)とは?

シャトー・タルボ(Chateau Talbot)は、凝縮しつつもなめらかなスタイルは、まさにボルドーワインの優雅さと偉大さの典型。

所有するブドウ畑の面積は「107ha(ヘクタール)」と、メドック地区でも2番目の大きさを誇っている。タルボはボルドーでは唯一、手摘みで収穫されたブドウを、余分な水分を飛ばすために温風の出るトンネルをくぐらせる。元来ピーチなどのデリケートなフルーツに施されてきた手法である。

15世紀のイギリス統治時代にサン・ジュリアン一体をタルボ将軍が治めていた。タルボ将軍はイギリスの歴史の中でも名将として有名で、シェイクスピアの「ヘンリー6世」にも出て来る、英国人にとっては歴史上の英雄です。

これが名前の由来で、1453年にカスティヨンの戦いで敗れた、イギリス人のギィエンヌ総督、英軍指揮官タルボ将軍、シュルベリー伯爵にちなんだもの。

※1985年(昭和60年)の出来事

日本の内閣総理大臣は、自由民主党中曽根康弘氏。

男女雇用機会均等法が成立。群馬県御巣鷹の尾根に墜落した『日航ジャンボ機墜落事故』もこの年。初の日本人宇宙飛行士誕生し、携帯電話の先駆けとなるショルダーフォン(NTT)も登場。

ファミコン用ソフト『任天堂スーパーマリオブラザーズ』が発売され空前の大ヒット。ヒット曲はチェッカーズの『ジュリアに傷心』で、映画では『ゴーストバスターズ』がランキングNo.1になっている。

 

②なぜ、『シャトー・タルボー1985』で、人生が変わったんですか?

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シャトー・タルボ1985

 最初にコルクを開けた瞬間に、私の人生は変わったんです。抜栓は一時間くらいかかったんですが、コルクがボロボロで開けた瞬間に香りが漂って自分の中に入ってきて、「何だこの香りは?」と、今まで香ったこともない。コルクが開いた瞬間にパァ〜っと花の香りのような、ワインの香りなんですけど、それが広がって長テーブルに座っているみんなが、ワインの近くから順々に「あ〜〜〜香る!香る!香る!」と時間差で、だんだんと香りが広がっていったんです。

 ワインってこんなに香り豊かなものなんだ、今までそんなことは思いもしなかった。ワインに対する考えが全く変わったっていう意味で、ワインというものが自分の人生の中で全く違うものになりました。

 

③どんな抜栓だったんですか?

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シャトー・タルボの抜栓を担当

 私が、ラギオールのソムリエナイフで抜栓しました。フランスのティエールで作られているラギオールナイフ。このワイン会のために準備しました。『シャトー・タルボー1985』は、私が購入してワイン会まで1週間くらい保管し、当日、澱(オリ)が舞い上がらないようにワイン会場に持っていきました。

 キャップを切る時、蓋を開けた瞬間にコルクの表面が黒白っぽくカビが生えた感じで、半ば乾燥しかけた感じでした。いい状態でカビは生えてました。液面はそんな下がってなく状態いい感じでした。

 

 キャップ外して、カビをこさいで、まずスクリューの先端の真ん中くらいに差し込んで、ゆっくり回すんですけど、コルクの表面は固かったです。割と乾燥気味で、コルクの真ん中部分がもう既に少し固かったので。スクリューの回す時の感触は固めでしたが、途中から少し柔らかくなって、引き抜こうとしてもなかなかスムーズにいかないんですよ。コルクを引き抜くときに最初の1mmが力込めてもなかなか動かなくて、テコの原理を使ってゆっくり力を入れても全然動かないんです。

 あんまり勢いよく抜こうとすると、ポキっとコルクに亀裂が入って折れそうになってしまうんです。コルクを真っ直ぐ引っ張り上げるために、てこの原理でいう支点位置を、ボトルの口ではなく、親指の甲にしてスクリュー角度を調整するんです。指は痛いですけど、真っ直ぐに上げるためです。そして抜栓も気が付いたら一時間くらいかかっていました。

 

④どんな香りでしたか?

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ワインに対する印象が180度変わりました

 抜栓者の特権である、一番に香りを楽しめるというところですが、抜栓しているとイキナリ鼻腔に『シャトー・タルボ』の香りがフワ〜っときて、とろけましたね。ワインに対する印象が180度変わりました。

 もちろんワインの香りはあると分かっていたのですが、これまでに香ったことのない『シャトー・タルボ』の香りだったんです。香りが素晴らしかったですね。特に最初の香りとかは強烈ですよね。一発香ると忘れられないですね。

 

 参考までに、ワイン評論家のロバート・パーカー氏は、この「シャトー・タルボ1985」を89点と評価しています。

1985年のタルボは1982年ものを小型にしたようなワインであり、現在、飲むのにはうってつけである。色は非常に深みがあり、熟した、豊かなベリーのような香りがあり、しなやかで肉付きがよく、ミディアムボディである。たっぷりとした果実味があり、フィニッシュはなめらかで優雅で、すばらしくバランスがよい。

ロバート・パーカーボルドー第3版」より引用】

 

⑤どんな味だったですか?

 まろやかっていうんですかね。それまで、赤ワインに対するイメージって、舌に刺さるような酸味のイメージがあったんですけど、そういったのが無くて丸いイメージ、まろやかなイメージで、口に含んで甘いわけですよ。その喉ごしがスッと入ってきた時の滑らかな、何の抵抗も無く喉を越えて体内に入っていく、そんな敏感にならざるを得ないような感覚ですね。

 シャトータルボ1985年を女性に例えると、35歳くらいの女性で、人生をこれまで楽しく過ごしてきたけども、もっと華やかな世界で生きていきたい!と思っている女性ですね。まだ成熟までいってないって感じでした。

 

⑥シャトー・タルボ1985に出会って、人生がどのように変わりましたか?

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ロマネ・コンティというものが腑に落ちた感じがしました。

 まずワイン以外のお酒を飲まなくなりました。以前に、ロマネ・コンティ2010を飲んだことあります。昨年9月にベオグラードの王宮で開かれたパーティーのディナーで同席してた人と、ロマネ・コンティについて話ができました。

 それまで頭での理解しかできてなかったんですが、ロマネ・コンティというものが腑に落ちた感じがしました。味わった者同士なら何か解り合えるものがあるんだなと。やっぱり飲んで、香りを感じ、のどごしを感じて、共通言語になるんだなっていうのを肌で体験することができましたね。

 

⑦シャトー・タルボ1985に出会う前の林さんにとってワインとは?

 ワインとはオシャレ感覚で、たまに飲むその他のお酒でした。ビールでも日本酒でもワインでも全くアルコールが入ってる飲料としてなんら変わりはない。飲み会とかでワインを飲むことはまずないですね。ワインのこと知ってても赤か白かっていうぐらいですね。

 

⑧今の林さんにとってワインとはどんなものでしょうか?

 お酒の中の一つの種類ではなく、全然別の飲み物という捉え方ですね。アルコール飲料とかじゃなくて、人生を豊かにしてくれるツール。もちろん誰かとの会話でそういった話題になることで、ワインを一緒に味わって飲む、自分の人生の中にワインというのが取り込まれて、自分の人生の一つになっています。

 

⑨これからオールドヴィンテージワインを愉しむ人に向けて

 ぜひ、EXPLORERS CLUB 主催のワイン会に参加して頂きたいと思います。10名くらいで、これはいいと言われるオールドヴィンテージワインを一本選び、そのワインについて一つのネタを調べてきたことをシェアし合う形で、自分の感想を言ったり、周りの人が受けた印象を聞いたり。

 それでワインというのは、味わいだとかコミュニケーションのツールになるとか、そういう経験を積んでほしいですよね。ただのお酒としてではなく。

 

【林 信隆さんのインタビューを終えて】

まず、シャトー・タルボ1985年は香りが強烈だという印象を受けました。長テーブルに座ってる人たちが順々に香る程の香り、味わってみたいです。

また、ワインを口に含んだ時に、舌に刺さるような酸味の強いイメージというのは、私自身もよく感じたことがあるので、何の抵抗もなく喉を越えて体内に入っていくまろやかな感覚というのはとても興味深いですね。

あとはワインを女性に例えると、というところで35歳くらいの女性っていうのはびっくりしましたね!しかも成熟までいってないという。(笑)そこまでワインを飲んで感じられるのであれば、飲んでみたくなるに決まってるでしょう!!

WRITING 落合 予示亜

「インタビュアー 山下裕司:WRITING 落合 予示亜、山下裕司」

 

 

●【最後に 】

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 インタビュー記事中に出てくるエクスプローラーズクラブが主催するワイン会は、一本のオールドヴィンテージワインだけを10名ほどのメンバーでじっくり愉しみ、知識や感想を共有し、お互い学びを得ながら上質で美しい時間を形成する会です。福岡地区のワイン会はインタビュアーでもある山下が開催しています。

 EXPLORERS CLUBでは、全国に地区(支部)があり、地区でのワイン会を開催しています。

 メンバーになると全国で開催されるワイン会にもご参加いただくことが可能です。EXPLORERS CLUB 福岡では不定期ですがクラブメンバー以外の方にもご参加いただけるオールドヴィンテージワイン会を開催しています。

 こちらの申し込みフォームにご登録いたただきますと『次回の開催案内』をメールにてご連絡させていただきます。

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