死ぬまでに飲みたい!おすすめオールドヴィンテージワイン

【 時代を越えて受け継がれるオールドヴィンテージワインを飲んだ方々の体験談をご紹介しています 】

【私の人生を変えた一本のワインNo.35】シャトー・マルゴー1975

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シャトー・マルゴー1975

私の人生を変えた一本のオールドヴィンテージワイン

 この『死ぬまでに飲みたい!おすすめオールドヴィンテージワイン』ブログにお越しいただき、ありがとうございます。 

  突然ですが、あなたには「人生を変えた一本のワイン」がありますか?大切な人と一緒に記念日に飲むワイン、尊敬する人に薦められたワインなど、あなたにとって特別なワインは何か?

 ではなく、、、

 本当にそのワインがきっかけで人生を変えたワインをインタビューしてご紹介するシリーズです。それぞれの「人生を変えた一本のワイン」をご紹介しています。

本日インタビューしたのは、この方

かとう めぐみさん(フォトグラファー)

山形県米沢市の古い一軒家をリノベーションしたアンティーク写真館『めぐる寫眞室』代表。

 

①人生を変えた一本のオールドヴィンテージワインは、何ですか?

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シャトー・マルゴー1975

2019年5月、EXPLORERS CLUB 東北 主催のワイン会で飲んだ『シャトー・マルゴー1975(Château Margaux)』です。

シャトー・マルゴー(Château Margaux)とは?

シャトー・マルゴー(Château Margaux)は、格付け一級で、ボルドー五大シャトーのなかでもエレガントで最も女性的なワインと評され「ワインの女王」と呼ばれる。1855年の格付け当時から五大シャトーの先頭を争う高貴なワイン。

1810年に、フランスでは珍しい「メドックヴェルサイユ宮殿」と称されるネオ・パラディアン様式の城をボルドーの建築家 ルイ・コンブが建設。

ルイ15世の愛妾デュ・バリー夫人、「レ・ミゼラブル」作者の小説家ヴィクトル・ユーゴーアメリカ第3代大統領トーマス・ジェファーソン、イギリス初代首相ロバート・ウォルなど、各界の著名人に寵愛されていたワイン。

ノーベル賞を受賞した文豪ヘミングウェイは、あまりにもマルゴーを愛し過ぎて、その名を孫娘に「マーゴー(マルゴーの英語読み)」と付けた。その美しい名の孫娘は、映画女優にまでなった。

※1975年(昭和50年)の出来事

第66代内閣総理大臣は、自由民主党三木武夫氏。

天皇が史上初めてアメリカ合衆国を公式訪問。山陽新幹線岡山駅博多駅間開業。きのこの山明治製菓)や黒ひげ危機一発タカラトミー)が大ヒット。

 

②なぜ、「シャトー・マルゴー1975」を選んだのでしょうか?

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「ワインを愉しむには一流のワインから飲む!」

 この『シャトー・マルゴー1975』は、EXPLORERS CLUB 主催のオールドヴィンテージワインを愉しむ「教養のためのワイン会」を開催するときに選んだワインです。

 「ワインを愉しむには一流のワインから飲もう!」という EXPLORERS CLUB ファウンダーのKATO氏からの教えもあり、「この会にふさわしいワインは何か?」と考えたとき、ボルドー五大シャトーの「ワインの女王」と呼ばれるシャトー・マルゴーにしたい!という想いがありました。

 そして、「教養のためのワイン会」ストーリーテラーの中川吉右衛門さんのワインストックの中に、シャトーマルゴー1975があり、ぜひ、このシャトー・マルゴー1975でやろうということで「教養のためのワイン会」を開催しました。そんな想いもあって、このワインを選びました。

 

③どんな抜栓でしたか?

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皆が抜栓に集中。素敵な緊張感に包まれる会場

 43年前の古いオールドヴィンテージワインなので、コルクはボロボロかと思っていたのですが、わりとスムーズな抜栓でした。

 最初に、シールキャップを外し、コルク表面についたカビを削った瞬間に、何かの封印が解かれたみたいに一気に香りがフワ〜っと広がったんです。そしてコルクをジワリジワリと丁寧に抜いていくたびに香りが濃くなっていくんです。どよめきと感嘆で会場の雰囲気が一気に変わりました。

 

④どんな香りでしたか?

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濃厚なスイートな香水の香りがするシャトー・マルゴー

 中身本当は、白ワインだったんじゃないの!?と思うくらいの琥珀色。そんなマルゴーが入ったグラスを口に近づけると、パーっと広がる華やかさ。いろんなお花畑があり、濃厚な香りの花、花の蜜のような、甘い香り、香水に近いフローラルなフレグランスのような、陶酔を催すような甘い濃厚な香りが漂いました。

 わずか5歳でフランス国王に即位し、常に女性を取り巻いていたといわれる「最愛王」ことルイ15世の愛妾のデュ・ バリー婦人や文豪ヘミングウェイなど偉人達に愛されたワインでもあります。

 「マルゴーは貴婦人」と言われるだけあり、濃厚なスイートな香水の香りが匂い立つという感じです。琥珀色をしたそのマルゴーには、貴婦人が匂い立つようなエレガンスを感じました。

 

⑤一口目は、どんな印象でしたか?

 口に含むと、その甘い香りとは一変してアルコール感が強いけれど、スッキリというイメージです。力強いアルコール感と果実の爽快感を感じました。香りの印象で優しい味をイメージして口に含んだら、香りと味のギャップにやられましたね。ピリッとアルコール度が強くて「人生そんなに甘くないわよ!」ってパンチをくらったような感覚です。

 

 参考までに、ワイン評論家のロバート・パーカー氏は、この「シャトー・マルゴー1975」を74点と評価しています。

エッジがかなり琥珀色がかっており、古い鞍革のような、土地臭くて埃っぽいノーズの1975年のマルゴーの出来には、いつもがっかりさせられてきた。酸度が高く、厳しい味わいで、熟成感と魅力に欠ける。

タンニンがきついのが、この凡庸なワインの失敗の原因である。これよりもまずい瓶を飲んだこともあるので、前もって注意せよ。

ロバート・パーカーボルドー第3版」より引用】

 

シャトー・マルゴーの一番好きなところ

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香りからシャトー・マルゴーの「レゾンデートル」を感じます。

 マルゴーの一番好きなところは、華やかな香りです。そこにシャトー・マルゴーの「レゾンデートル(存在価値)」を感じます。その根底に流れているのがエレガンス。やはり「ワインの女王」と呼ばれるシャトー・マルゴーです。

 薔薇が咲いているガーデンみたいな広大な場所に、ぎっしりとした一面の薔薇と他にも色々なお花が咲いてるガーデン。そこから香る薔薇の香りというイメージです。そこに足を踏み入れたとたん、バラの香りがバァーっとしてきて、その香りに圧倒されてミツバチになったような気分になります。

 花の蜜に魅了されたミツバチのようで、マルゴーの香りを通して、ワインを五感で味わうという感覚を理解できました。これが「happiness(ハピネス)」というものですね。

 

シャトー・マルゴーを飲んで、人生がどのように変わりましたか?

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「ベルベットの手袋の中の鋼鉄の拳」と表現されるマルゴーのような人生を

 人生90年だとするならば、このマルゴー貴婦人は、ちょうど人生の半分を過ぎた頃。若々しい20〜30代を駆け抜け、これから成熟した大人の女性としての人生が始まるそんな時期です。

 これから始まる第二の人生での「リ・スタート」するイメージが今の私と重なって、女性として本当の勝負の時期。その戦いを愉しみ尽くそうという覚悟を決めた力強さ。そして、若さと豊熟とした相対するもの全てを包み込むような、女性の華やかさ。しかし、その中にもまだフレッシュさが残っていて、境目の変わり目のワインだと感じました。

 30年にわたりシャトー・マルゴーの最高醸造責任者を務めた故ポール・ポンタリエ氏は、我が子であるシャトー・マルゴーを「ベルベットの手袋の中の鋼鉄の拳」と表現しました。女性らしくも力強さを秘めた、そんなワインです。

 このシャトー・マルゴー1975を飲んでから、色々な人生の責任を取る覚悟ができました。シャトー・マルゴーを飲むことで、自分の今の状況・立ち位置がはっきり見えて、これから自分はこうやって生きていく!と覚悟を決めてくれたワインでもあります。

 そして、年月を重ねるってこんなに素晴らしい事なんだと気付かされたワインです。このマルゴーのように、貴婦人のようなエレガントな人生を生きたいと思いました。エレガントな覚悟を感じたワインです。

 

シャトー・マルゴーに出会う前の、かとうさんにとってワインとは?

 元々お酒はあまり得意でなく、ワインもあまり飲みませんでした。たまに飲むお酒は、飲み会のときに友達と一緒に楽しむものでした。

 

⑨今のかとうさんにとって、シャトー・マルゴーとは?

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シャトー・マルゴーは上質な時間を作り出す

 「上質な時間を作り出すもの」です。大切な誰かと、上質な豊かな時間を愉しむためのものです。

 シャトー・マルゴーに出会って、一日一日を丁寧に生きるようになりました。以前は忙しい時には、とりあえず最低限のことだけを片付けて、それ以外のことは取りこぼしていましたが、今は色々なことが同時に起こっても慌てずに落ち着いて対応している自分がいます。

 これからの人生に向けて、これからの長い熟成に向けて自分をドンドン高めていく、これから、より美しい時間を積み重ねていく、という共に戦う仲間。そして、同じ志を持った仲間です。

 

⑩これからオールドヴィンテージワインを愉しむ人に向けて

 この人と一緒にワインを飲んでみたい!と思う人を見つけることでしょうね。出会うまでは、そのワインとの出会いを愉しみましょう。そういう人が見つかり、知的で上質な会話を愉しめる人と一緒に飲むと、ワインで人生が変わります。

「インタビュアー:山下裕司 WRITING:上堀内弘樹」

 

●【最後に 】

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 インタビュー記事中に出てくるエクスプローラーズクラブが主催するワイン会は、一本のオールドヴィンテージワインだけを10名ほどのメンバーでじっくり愉しみ、知識や感想を共有し、お互い学びを得ながら上質で美しい時間を形成する会です。福岡地区のワイン会はインタビュアーでもある山下が開催しています。

 EXPLORERS CLUBでは、全国に地区(支部)があり、地区でのワイン会を開催しています。

 メンバーになると全国で開催されるワイン会にもご参加いただくことが可能です。EXPLORERS CLUB 福岡では不定期ですがクラブメンバー以外の方にもご参加いただけるオールドヴィンテージワイン会を開催しています。

 こちらの申し込みフォームにご登録いたただきますと『次回の開催案内』をメールにてご連絡させていただきます。

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