【私の人生を変えた一本のワインNo.39】DRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ)
- 私の人生を変えた一本のオールドヴィンテージワイン
- 本日インタビューしたのは、この方
- ①人生を変えた一本のオールドヴィンテージワインは、何ですか?
- ②なぜ、このDRCの6本を選んだのでしょうか?
- ③それはDRCを追いかけてるみたいな感覚ですか?
- ④ウルトラワイン会に出席した、きっかけはなんですか?
- ⑤会場に並んでいたDRCのワイン達は、どんな感じでしたか?
- ⑥ロマネ・コンティは、いつか飲みたいワインでしたよね?
- ⑦ロマネ・コンティ1969のサーブはどんな感じでしたか?
- ⑧一口目はどんな印象でしたか?
- ⑨DRCを飲んで人生どのように変わりましたか?
- ⑩DRCを飲んで人生に対する考え方が変わった部分はありますか?
- ⑪今の久保田さんにとって、ワインとはどういったもの?
- ⑫これからオールドヴィンテージワインを楽しむ人に向けて
- ●【最後に 】
私の人生を変えた一本のオールドヴィンテージワイン
この『死ぬまでに飲みたい!おすすめオールドヴィンテージワイン』ブログにお越しいただき、ありがとうございます。
突然ですが、あなたには「人生を変えた一本のワイン」がありますか?大切な人と一緒に記念日に飲むワイン、尊敬する人に薦められたワインなど、あなたにとって特別なワインは何か?
ではなく、、、
本当にそのワインがきっかけで人生を変えたワインをインタビューしてご紹介するシリーズです。それぞれの「人生を変えた一本のワイン」をご紹介しています。
本日インタビューしたのは、この方
久保田 美弘さん(会社経営)
サクソフォーン奏者。「相続・事業承継コーディネーター」Angel Partners 株式会社 代表取締役。世界最高峰の舞踏会であるモナコ公室主催「薔薇の舞踏会」2019年に参加。
①人生を変えた一本のオールドヴィンテージワインは、何ですか?
2020年2月に EXPLORERS CLUB 主催で開催された『DRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)ウルトラワイン会』で飲んだ、6本のDRCです。
気持ち的には、やっぱり「DRC Romanée Conti 1969(ロマネ・コンティ)」なんですが、テイストという意味では「DRC Richebourg 1959(リシュブール)」なんです。でも「人生を変えた」という意味ですと、このウルトラワイン会の、この6本のラインナップが一つという感覚が強いんです。このヴィンテージのDRCを数時間で一気に体験したことの方が、むしろこれからの wine life を確実に変えた感覚があります。
※「DRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)」
- 【産地】フランス/ブルゴーニュ/コート・ド・ニュイ/ヴォーヌ・ロマネ
- 【格付け】グラン・クリュ(特級格付け)
「DRC」とは『Domaine de la Romanee-Conti(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ)』の頭文字を取ったもので、フランス・ブルゴーニュ地域圏ヴォーヌ・ロマネ村にある、世界最高で最も高価なワイン製造業者。
歴史は古く、1232年にヴォーヌのサン・ヴィヴァン修道院が畑を手に入れる所から始まる。醸造所の名は所有する最も有名なワイン畑ロマネ・コンティからつけられた。
現在は、ロマネ・コンティ(Romanée Conti)、ラ・ターシュ(La Tache)、リシュブール(Richebourg)、グラン・エシェゾー(Grands Echezeaux)、エシェゾー(Echezeaux)、ロマネ・サン・ヴィヴァン(Romanée Saint Vivant)、モンラッシェ(Montrachet)を生産している。
※「今回のウルトラワイン会のラインナップ」
- DOM PERIGNON 1952 Champagne(ドン・ペリニヨン)
- MEURSAULT COMTES LAFON Les Perrières 1970(ムルソー・コント・ラフォン・レ・ペリエール)
- DRC Romanée Conti 1969(ロマネ・コンティ)
- DRC Richebourg 1959(リシュブール)
- DRC La Tache 1972(ラ・ターシュ)
- DRC Grands Echezeaux 1972(グラン・エシェゾー)
- DRC Echezeaux 1967(エシェゾー)
- DRC Romanée Saint Vivant 1976(ロマネ・サン・ヴィヴァン)
- Château d’Yquem 1971(シャトー・ディケム)
※ロマネ・コンティ(Romanée-conti)を飲む意味
ロマネ・コンティ(Romanée-conti)を飲む。それは、奇跡の土地に顕れた自然の神秘と、その誉れを表現すべく歴史を重ねてきた人間の行為の崇高さを、みずからの内に取り込んで、霊的な人格を向上させようとする行為である。そこに意味を見出すことで、人は偉大なワインを飲む資格を得る。
自分自身が飲むに値する人間かどうかを問う必要はない。むしろ、自らが未熟だから飲むのだ。迷える一人の人間に過ぎないから飲むのだ。飲むことで、何であるべきか、何をなすべきか、啓示が与えられる。生きるための力と、生きる意味が与えられる。
ロマネ・コンティは、ワインなる特別な飲み物の特別な理由を、何より明確にする。
「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティの世界(著:ワイナート編集部):84Pより引用」
②なぜ、このDRCの6本を選んだのでしょうか?
今まで、ブルゴーニュ好きとして、いろんなワインを飲んできましたが、今回のDRCは今までの延長線上に無いものでした。今までも、いろんなワインを飲んできましたが、今回の「DRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)」の6本のラインナップは、今までになかった全く新しい次元のワインたちでした。
まさに『DRC SHOCK!!』です。今まで味わったことのない感覚だったんです。赤ワインという意味では、飲んで味わったことあるし、有名なグランクリュ(特級畑)のワインも今まで飲んできました。でも、明らかに何かが違うんです。私自身、初めての体験ですし、そしてロマネ・コンティは世界一のワインですし、DRCは世界一の造り手です。もしかすると、DRCに対してリスペクトしすぎてる部分があるのかもしれません。自分が作り上げている感じも確かにあります。
③それはDRCを追いかけてるみたいな感覚ですか?
「追いかける」というか。今までワイン会で飲んだワインは、いろんなイメージが思い浮かんでいましたが、今回のDRCは、そのイメージが本当にできにくくて。ウルトラワイン会の後、今でも、そのイメージを描いているという感じがしています。
非常に例えが難しいのですが、今まで飲んできた最高のグランクリュが、二次元の世界で表現しているものだとしたら、今回の「DRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ)」は、三次元の立体的な世界になった感じです。初めて、高さが加わったワインのDRCを飲んで、今、高さの部分を埋めているという感じでしょうか。DRCを表現することを、これからの人生でやっていくという感じです。
④ウルトラワイン会に出席した、きっかけはなんですか?
最初は、この「ウルトラワイン会」の参加費は出せないかなと思っていて、募集の時は参加表明してないんです。しかし、単純にお金が無いというだけで、参加しないという選択は間違えていると思ったんです。仮に今後、数百万円するロマネ・コンティを、どこかのお金持ちの方に奢ってもらって飲んでも、今回と同じ感覚にも、飲み方にもならないんじゃないかと思うんです。
でも、これだけのDRCラインナップが一気に揃う、この EXPLORERS CLUB 主催のウルトラワイン会で、仲間と一緒に飲み、その時間を共有するのは、同じロマネ・コンティを飲むのでも、全く意味が異なります。付加価値が全然違いますよね。というのを思い直させてもらって、それでやっぱり僕は出るべきだと思って出席しました。
⑤会場に並んでいたDRCのワイン達は、どんな感じでしたか?
今回のウルトラワイン会は「The Tender House(ザ・テンダーハウス)」で開催。会場に入るなり、異様なエネルギーを発するDRCを含む9本のラインナップが整然と並んでいました。正面に対峙し、そこに立つと、何かが振動している。命を閉じる事を拒んでいるのか、ようやく目覚めることを喜んでいるのか。波長というかテレパシーというのでしょうか、ワインが生き物としてエネルギーを発していたんです。実際、ワインって生きてるじゃないですか。
体温の上昇を感じ、その振動が伝わって、目頭から熱いものが伝わってきたんです。自分自身に対して「やっぱり、このウルトラワイン会に参加してよかった!」という想いと「ついに、この世界最高のワインと今ここで対峙してる!」という想いと、今までに感じたことのないゾーンに引き込まれていく感じでした。
⑥ロマネ・コンティは、いつか飲みたいワインでしたよね?
それはやっぱり、ワインラバー(愛飲家)としては、切望してました。そして、参加者みんな言ってましたが、ロマネ・コンティ1969は、もう今まで見たことのないSexyな色だったんです。そんなロマネ・コンティ1969と対峙したら、ワインと自分だけの世界に入ってしまったような不思議な感覚になりました。
この日のラインナップは、以下です。
- DOM PERIGNON 1952 Champagne(ドン・ペリニヨン)
- MEURSAULT COMTES LAFON Les Perrières 1970(ムルソー・コント・ラフォン・レ・ペリエール)
- DRC Romanée Conti 1969(ロマネ・コンティ)
- DRC Richebourg 1959(リシュブール)
- DRC La Tache 1972(ラ・ターシュ)
- DRC Grands Echezeaux 1972(グラン・エシェゾー)
- DRC Echezeaux 1967(エシェゾー)
- DRC Romanée Saint Vivant 1976(ロマネ・サン・ヴィヴァン)
- Château d’Yquem 1971(シャトー・ディケム)
そして、その狂詩曲は、68年前のドンペリニヨンから始まる。泡こそないが、凝縮したシャルドネが小刻み良く舌の上を踊っている。決してうるさく無いシンバルが、クレッシェンドしていくように。そこにコント・ラフォンのスネアが鳴り出す。決して主張しすぎず、しかし無くてはならない存在として、いつかは体験したいと思いつつ、その日が来るのをずっと待ち焦がれていた主旋律が、DRC Rhapsodyの主役としてやってくる。
今回のDRC、僕は例えとして「Rhapsody」という表現を使ったんですが、Rhapsodyっていうのは、ポップなところがあったりアカペラやオペラみたいなとこがあったり、いろんな要素が混ざってくるんです。今回のウルトラワイン会は、そういうところがありました。
⑦ロマネ・コンティ1969のサーブはどんな感じでしたか?
DRCは、ロマネ・コンティ1969から始まり、明らかにそこからギアが変わった感じで、Aメロが鳴り出しました。幸運なことに、参加者へのサーブ役を仰せつかり、ボトルの上部から下部への展開を楽しませて頂き、じっくり世界最高のワインを最高の役割で味わせてもらいました。
見ただけで全然違う味がするんだろうなっていう、明らかに1本の中で違うワインという感じがしました。色も違いましたし。だんだん立ち上ってくるアロマ、そして変化していく色、自分の口に含んだ時の感じ、そして自分のロマネ・コンティも時間の変化を存分に味わせてもらったっていう感じです。
⑧一口目はどんな印象でしたか?
口に含む前から複雑なアロマは少しずつ漂い始め、グラスの中には、数百年前から世界のトップに君臨し続ける奇跡の液体が存在してました。天に与えられ、地に這い、その個体を最高に高められる人によって、受け継がれてきたその存在は、あまりにも複雑で、簡単に理解することをあえて拒んでいるかのように刻々と変化します。いや、受信者がそのセンサーを持ち合わせていないだけなのかもしれません。
澱(オリ)の混ざってる方を飲んだので、一口目は雑味を感じました。このラインナップだからっていうのはあるにしても、どれ一つとして最初のアタックの硬さが全く無くて、雑味はあっても角が無いという初めての感じで、ブドウの宝石を最小限にまで粒子化したら、こんな液体になり、グラスの中では気体として漂い続けているような感じがしました。いや、なんかまだ、まともに表現出来てないですね。
⑨DRCを飲んで人生どのように変わりましたか?
率直にDRCをしかも赤のグランクリュは全てを飲んだことがあるワインラバーに変わりました。これは実はすごく大きくて、僕もワイン好きなんですっていう人はたくさんいるけど、DRCの赤のグランクリュをこのヴィンテージで全部飲んだことあるっていうのは、ワインラバーのステージとしては明らかに違うという自負があります。
⑩DRCを飲んで人生に対する考え方が変わった部分はありますか?
どの世界も「一番上を知る」ということが大事だと思いました。今まで、数多くの素晴らしいグランクリュ(特級畑)や五大シャトーなどのオールド・ヴィンテージ・ワインと EXPLORERS CLUB 主催のワイン会で出会ってきました。そこで「大抵ワインのことは解ってきた」と勘違いしていました(汗)。
でも、今回「DRC Romanée Conti 1969、DRC Richebourg 1959、DRC La Tache 1972」ら、今飲めるDRCの中では、世界最高といえるワインたちに出会ったことによって、今までの圧倒的な上を行くワインがあったんだと気付かせて頂きました。これからまた飲むワインの感覚が、横の比較ではなく、まだ出会ってないワインと、空間を一つ一つ埋めていく楽しみが増えました。
⑪今の久保田さんにとって、ワインとはどういったもの?
表現方法の一つです。例えば、国賓をお迎えするような晩餐会では、出されるワインによって「招待する国家元首へのメッセージが込められていたりする」ことがあります。ワインは重要な外交メッセージを持つということがあります。それは、私達が素敵なレストランで、ワインリストからその日のワインを選ぶのと同じで、一つの表現方法だと思います。
2011年5月に、国賓としてイギリスを訪問したオバマ米大統領夫妻は、バッキンガム宮殿で開催された、エリザベス女王主催の公式晩餐会へ出席。この時に出てきたワインは「DRC Echezeaux1990」。今回のウルトラワイン会で飲んだ、ロマネ・コンティ・エシェゾー1967とはヴィンテージは違いますが、バッキンガム宮殿でエリザベス女王がオバマ米大統領をお招きした晩餐会で愉しむ。そんな上質なワインです。
自分が世界最高の6本のDRCを経験したという事を活かして、誰かの人生に彩りを添える演出として、その表現を継承していきたいと思います。
⑫これからオールドヴィンテージワインを楽しむ人に向けて
素晴らしいワインを体験すると、そのワインを登場させる素敵なシーンを自分で作りたいっていう欲求にかられますよね。例えば、どこかで素敵なワインを飲んだら「このワインは◯◯さんと一緒に飲みたい」とか、「こういうシーンで飲みたい」とか、「こういうことが達成できたら飲みたい」とか、想像するじゃないですか。
だから素晴らしいワインを飲めば飲むほど、それに相応しい素敵な自分でありたいと思います。そういうワインの楽しみ方もありだと思いますね。それをイメージするだけでも楽しいと思います。
「インタビュアー 山下裕司:WRITING 落合予示亜」
●【最後に 】
インタビュー記事中に出てくるエクスプローラーズクラブが主催するワイン会は、一本のオールドヴィンテージワインだけを10名ほどのメンバーでじっくり愉しみ、知識や感想を共有し、お互い学びを得ながら上質で美しい時間を形成する会です。福岡地区のワイン会はインタビュアーでもある山下が開催しています。
EXPLORERS CLUBでは、全国に地区(支部)があり、地区でのワイン会を開催しています。
メンバーになると全国で開催されるワイン会にもご参加いただくことが可能です。EXPLORERS CLUB 福岡では不定期ですがクラブメンバー以外の方にもご参加いただけるオールドヴィンテージワイン会を開催しています。
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