【私の人生を変えた一本のワインNo.42】ムルソー・コント・ラフォン・レ・ペリエール1970
- 私の人生を変えた一本のオールドヴィンテージワイン
- 本日インタビューしたのは、この方
- ①人生を変えた一本のオールドヴィンテージワインは、何ですか?
- ②なぜ、「ムルソー・コント・ラフォン1970」を選んだのでしょうか?
- ③どんな抜栓だったんですか?
- ④どんな香りでしたか?
- ⑤一口目は、どんな印象でしたか?
- ⑥そのワインを飲んで、人生がどのように変わりましたか?
- ⑦そのワインに出会う前の稲垣さんにとってワインとは?
- ⑧今の稲垣さんにとって、ワインとは?
- ⑨これからオールドヴィンテージワインを愉しむ人に向けて
- ●【最後に 】
私の人生を変えた一本のオールドヴィンテージワイン
この『死ぬまでに飲みたい!おすすめオールドヴィンテージワイン』ブログにお越しいただき、ありがとうございます。
突然ですが、あなたには「人生を変えた一本のワイン」がありますか?大切な人と一緒に記念日に飲むワイン、尊敬する人に薦められたワインなど、あなたにとって特別なワインは何か?
ではなく、、、
本当にそのワインがきっかけで人生を変えたワインをインタビューしてご紹介するシリーズです。それぞれの「人生を変えた一本のワイン」をご紹介しています。
本日インタビューしたのは、この方
稲垣 麗子さん(会社員)
フルーティスト。2019年モナコ公室主催の「薔薇の舞踏会」に参加。EXPLORERS CLUB 音楽部のフルートパートに所属しており、ビッグバンドオーケストラやアンサンブルなどの編成でチャリティコンサートやガラパーティーにおける演奏活動を行なっている。
①人生を変えた一本のオールドヴィンテージワインは、何ですか?
2020年2月に EXPLORERS CLUB 主催で開催された「DRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)ウルトラワイン会」で飲んだ、『ムルソー・コント・ラフォン・レ・ペリエール1970(MEURSAULT COMTES LAFON Les Perrières)』50年前のワインです。
※ムルソー・コント・ラフォン・レ・ペリエール(MEURSAULT COMTES LAFON Les Perrières)とは?
『ムルソーのスペシャリスト』と呼ばれるコント・ラフォン。世界の白ワイントップ生産者10傑に選ばれ、ムルソーのトップ生産者としてその名を馳せる偉大な造り手。
その畑は除草剤を辞めビオディナミに変更し、ムルソーで最も長期熟成型のワインが生み出される最優良畑。蜂蜜を感じる果実味は強靭で豊かなミネラル感と渾然一体となり、グラスに注ぐごとに複雑に変化し、飲み手を魅了し続ける。
※1970年(昭和45年)の出来事
1951年(昭和26年)にサンフランシスコ講和条約とともに署名された、日米安全保障条約の自動延長が決定。77カ国の参加のもと6400万人の来場を超えた大阪万国博覧会が開催。植村直己氏が北米マッキンリー(6194m)の登頂に成功し五大陸最高峰登頂を達成。
②なぜ、「ムルソー・コント・ラフォン1970」を選んだのでしょうか?
変化の凄まじさで、私に人生で見ていないものが沢山あることを体を張って教えてくれたワインだからです。
ウルトラワイン会のテーブルで私の前に並んだ9つのワイングラス。それはお食事が終わってジェントルマン達がシガールームに移動した後、お茶を愉しむ強烈かつ個性豊かなフランスマダム達の集まりのようでした。10人目として自分がそのお茶に参加したらどうなるのか?そんなことを考えました。特に際立っていただのは、ドン・ペリニョン、コント・ラフォン、ロマネ・コンティ。
中でもコント・ラフォンは最初はそんなに個性的には思わなかったのに、時間が経つにつれ個性が際立ち、しかも様々な分野で突き抜けた経験を積んできたマダムという印象を受けました。一口飲んだ時は、とても格式高い素敵なワインだけれども、際立つ個性があるとは思わなかったのです。
一口飲んで10分ほど経ってからです。コント・ラフォンの変化を愉しもうと飲んでみると、先ほど飲んだものと明らかに違うその変化。ヴァニラ(Vanilla)のような高貴な甘いスウィートな香りに変わって。その香りを嗅ぐと味も甘く変化しているのかな?と思いたくなるほどの劇的変化でした。
私よりも数年だけ年上の先輩のはずが、人生経験の質と量は半端なく、自分と比べ物にならない、そんな女性と対話したような気持ちでした。以下が、ウルトラワイン会のラインナップです。
●【ウルトラワイン会9本のラインナップ】
- DOM PERIGNON 1952 Champagne(ドン・ペリニヨン)
- MEURSAULT COMTES LAFON Les Perrières 1970(ムルソー・コント・ラフォン・レ・ペリエール)
- DRC Romanée Conti 1969(ロマネ・コンティ)
- DRC Richebourg 1959(リシュブール)
- DRC La Tache 1972(ラ・ターシュ)
- DRC Grands Echezeaux 1972(グラン・エシェゾー)
- DRC Echezeaux 1967(エシェゾー)
- DRC Romanée Saint Vivant 1976(ロマネ・サン・ヴィヴァン)
- Château d’Yquem 1971(シャトー・ディケム)
③どんな抜栓だったんですか?
このコント・ラフォンは、所属しているEXPLORERS CLUBで2020年の2月に行われたDRCをメインにオールドヴィンテージのワイン9本を仲間と共に愉しむ「ウルトラワイン会」で頂きました。
抜栓はクラブメンバーでありソムリエでもある仲間が美しく官能的な抜栓をしてくださいました。この会で抜栓はエンターテインメントの一つであることを知りました。ワインはただ飲むだけのものではなく、あらゆる角度から愉しむものだと。
④どんな香りでしたか?
最初はシーフードの前菜に合わせるための白ワイン、といったあまり癖を感じさせない想定範囲内の印象だったのですが、10分ほど時間を置いたところ、一気に甘いデザートのような香りに変化したのです。それはヴァニラのような力強く高貴な香り。私は一番最後にサーブされたものを頂いたのですが、底力のようなパワーを感じました。
実は、1428年頃から1521年までメキシコ中央部で栄えたメソアメリカ文明国家「アステカ帝国」でも香料として珍重されていたヴァニラ。現在でも世界で2番目に高価なスパイスと言われ、存在そのものが「進化の奇跡」といわれています。
「なぜ、進化の奇跡と言われるのか?」
実はこのヴァニラ、他の植物に絡まりながら成長するつる性の植物で、そのつるの長さは90m以上に達することもあるそうです。原産地のメキシコでは「貴婦人の蜂」と言われるオオハリナシバチがヴァニラの花の授粉を行い、受粉しなかった花はわずか24時間でしおれて落ちてしまいます。受粉機会がとても限られていることから、本物のヴァニラは「進化の奇跡」と言われるんですね。
もちろんヴァニラを感じるだけで、ヴァニラ成分が配合されている訳ではありませんが、「進化の奇跡」というものを感じたのが、このコント・ラフォンの香りでした。
⑤一口目は、どんな印象でしたか?
最初に口に含んだときは香りも味もそこまで驚くような印象はありませんでした。だからこそ、その後の変化に魅了されてしまいました。
⑥そのワインを飲んで、人生がどのように変わりましたか?
このコント・ラフォンを頂いたウルトラワイン会は私がずっと憧れていたワイン会であり、その場でコント・ラフォンを頂けて遅ればせながら自分のワイン人生がスタートしました。今回のウルトラワイン会のラインナップは凄まじく、これから私は「私はワインを一番上から飲み始めてしまった」という気持ちを抱きながら生きていくことになります。
ウルトラワイン会を開催してくださったEXPLORERS CLUBの創設者であるKATO氏は「いいワインはいい経験をしてきた人が飲むべき」と仰います。良いワインを飲むためにこれからの人生、素敵に生きる事を自分に課したと感じています。「進化の奇跡」を自分の人生で体現していきます。
⑦そのワインに出会う前の稲垣さんにとってワインとは?
お恥ずかしながら実はアルコール全般が今まであまり得意ではなく、EXPLORERS CLUB主催のワイン会も3〜4回程しか参加していませんでした。ディナーパーティーでもワインをあまり頂かずに食事をすることが多かったです。ですので30人で9本のオールドヴィンテージワインを頂くウルトラワイン会に参加することは、私にとってはもの衝撃的な大冒険でした。
とても素敵なオールドヴィンテージワインは、ほとんど酔うこともなく、気分も悪くなることもなく、素晴らしいワインと対峙していることに胸躍りながらも冷静に愉しめている自分がいました。
⑧今の稲垣さんにとって、ワインとは?
ウルトラワイン会に参加して「私もワインを愉しんで良いんだ」とようやく思う事が出来ました。仲間と共に9個のグラスを自分の前に置き、素晴らしいワインとコミュニケーションを取ることが出来、仲間と語らいながらオールドヴィンテージワインの知識が増えていくことが、自分の人生を深め彩り豊かになっていると感じます。
⑨これからオールドヴィンテージワインを愉しむ人に向けて
ワインを愉しむために大事なのは「良い仲間」と「良いワイン」だと思います。そしてこの二つが揃った機会があるなら恐れずに参加し、また恐れずに自分が感じた事を表現すると良いと思います。
実はこのウルトラワイン会では「ロマネ・コンティ(Romanee Conti)1969」も頂いたのですが、「あなたにはまだ早いわよ!」と言われているような表現の難しさを感じました。でも他の沢山良いワインを飲んできた参加メンバーはしっかりロマネコンティを愉しんでいたんですよ。
だから私からお伝え出来ることとすれば「今から良いワインを仲間と飲み始めて人生を変えましょう!」です。
「インタビュアー ・WRITING 山下裕司」
●【最後に 】
インタビュー記事中に出てくるエクスプローラーズクラブが主催するワイン会は、一本のオールドヴィンテージワインだけを10名ほどのメンバーでじっくり愉しみ、知識や感想を共有し、お互い学びを得ながら上質で美しい時間を形成する会です。福岡地区のワイン会はインタビュアーでもある山下が開催しています。
EXPLORERS CLUBでは、全国に地区(支部)があり、地区でのワイン会を開催しています。
メンバーになると全国で開催されるワイン会にもご参加いただくことが可能です。EXPLORERS CLUB 福岡では不定期ですがクラブメンバー以外の方にもご参加いただけるオールドヴィンテージワイン会を開催しています。
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