死ぬまでに飲みたい!おすすめオールドヴィンテージワイン

【 時代を越えて受け継がれるオールドヴィンテージワインを飲んだ方々の体験談をご紹介しています 】

【私の人生を変えた一本のワインNo.45】シャトー・タルボ1985

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【シャトー・タルボ1985】

私の人生を変えた一本のオールドヴィンテージワイン

 この『死ぬまでに飲みたい!おすすめオールドヴィンテージワイン』ブログにお越しいただき、ありがとうございます。 

  突然ですが、あなたには「人生を変えた一本のワイン」がありますか?大切な人と一緒に記念日に飲むワイン、尊敬する人に薦められたワインなど、あなたにとって特別なワインは何か?

 ではなく、、、

 本当にそのワインがきっかけで人生を変えたワインをインタビューしてご紹介するシリーズです。それぞれの「人生を変えた一本のワイン」をご紹介しています。

本日インタビューしたのは、この方

馬渡 真理子さん(会社員)

トランペッター。モナコ公室主催の薔薇の舞踏会出席に向けて、プロトコールを学んでいます。第1回 Bal de Japon参加、ディンギーヨットで葉山〜江ノ島往復。

 

①人生を変えた一本のオールドヴィンテージワインは、何ですか?

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シャトー・タルボ 1985

2019年11月、EXPLORERS CLUB 主催のワイン会で飲んだ『シャトー・タルボ1985 』35年前のワインです。

※シャトー・タルボ(Chateau Talbot)とは?

シャトー・タルボ(Chateau Talbot)は、凝縮しつつもなめらかなスタイルは、まさにボルドーワインの優雅さと偉大さの典型。

所有するブドウ畑の面積は「107ha(ヘクタール)」と、メドック地区でも2番目の大きさを誇っている。タルボはボルドーでは唯一、手摘みで収穫されたブドウを、余分な水分を飛ばすために温風の出るトンネルをくぐらせる。元来ピーチなどのデリケートなフルーツに施されてきた手法である。

15世紀のイギリス統治時代にサン・ジュリアン一体をタルボ将軍が治めていた。タルボ将軍はイギリスの歴史の中でも名将として有名で、シェイクスピアの「ヘンリー6世」にも出て来る、英国人にとっては歴史上の英雄です。

これが名前の由来で、1453年にカスティヨンの戦いで敗れた、イギリス人のギィエンヌ総督、英軍指揮官タルボ将軍、シュルベリー伯爵にちなんだもの。

※1985年(昭和60年)の出来事

日本の内閣総理大臣は、自由民主党中曽根康弘氏。

男女雇用機会均等法が成立。群馬県御巣鷹の尾根に墜落した『日航ジャンボ機墜落事故』もこの年。初の日本人宇宙飛行士誕生し、携帯電話の先駆けとなるショルダーフォン(NTT)も登場。

ファミコン用ソフト『任天堂スーパーマリオブラザーズ』が発売され空前の大ヒット。ヒット曲はチェッカーズの『ジュリアに傷心』で、映画では『ゴーストバスターズ』がランキングNo.1になっている。

 

②なぜ、『シャトー・タルボー1985』を選んだのでしょうか?

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シャトー・タルボ1985

 このワイン会を通じて、物事を全て愉しむという生き方と、万物に対する愛情をKATO氏とご一緒することで学ぶことができたからです。

 もしKATO氏とご一緒できてなかったら、ひょっとすると、このシャトー・タルボ 1985は「苦い、、、やっぱりワインって不味いな」だけで終わってたかもしれないと思うと、とても恐いです。

 EXPLORERS CLUB ファウンダーのKATO氏から、ワインには三つの人生があるというお話を伺いました。

  1. 陽光を浴びながら畑で育つ時期
  2. 暗い場所で熟成されていく時期
  3. 飲み手に出会う時期

 最後の飲み手に出会う人生が、ワインにとって最も重要と仰っていました。誰に出会うかでワインの人生が決まるなら、ワインを最高に愛でて、そのワインの価値を最高に高める飲み手でありたいと思います。

 

③どんな抜栓でしたか? 

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愛が溢れていた抜栓の時間

 KATO氏が抜栓をして下さったのですが、まるでエンターテイメントのように、思わず惹きこまれるような抜栓でした。

 世界中の大富豪が集まるモナコ公国で勝負されているジェントルマンから直接、異次元に繋がるワインとの向き合い方を見せてくださる貴重な機会でした。

 抜栓の途中でコルクが千切れそうになった時も私たちだったらどうするか?を考えるきっかけを下さったり、ワインと対話する機会を作られていくその姿にも、愛が溢れていました。

 

④「シャトー・タルボ1985」一口目はどんな感じでしたか? 

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時間が経つにつれ重厚感を感じるボルドーらしい品格を感じさせるタルボ

 あまり強い香りはせず、少しスパイシーで、スモーキーな香りでした。タルボが注がれたグラスを見ると、グラスの向こう側が見えないくらいの暗いガーネット色で「濃い味がするのかな?」という印象でした。口に含むと、少し酸味がある味わい。

 それが時間が経つにつれてタルボの表情も変化し、重厚感が出てきてボルドーらしい品格を感じました。KATO氏からは、今回のシャトー・タルボ1985は、抜栓後6分で最高の瞬間を迎えると教えて頂いたのですが、6分が近づくにつれて、徐々に甘さが増してきて、飲み終わった後も口の中に広がる甘さが濃厚なフルーツのように変化しました。

 そして、しばらく置いておくと突然渋みが、、、。「これ同じタルボなの?」と思うほど、大きく味わいが変化し驚きました。KATO氏からは「ワインの飲み方、扱い方によってワインの変化のスピードは変わります。馬渡さんは扱いがちょっと雑だったね」と。KATO氏のタルボは渋くなることもなく、まろやかで甘い香りが続いていて、私との違いに驚きました。

 

 参考までに、ワイン評論家のロバート・パーカー氏は、この「シャトー・タルボ1985」を89点と評価しています。

1985年のタルボは1982年ものを小型にしたようなワインであり、現在、飲むのにはうってつけである。色は非常に深みがあり、熟した、豊かなベリーのような香りがあり、しなやかで肉付きがよく、ミディアムボディである。たっぷりとした果実味があり、フィニッシュはなめらかで優雅で、すばらしくバランスがよい。

ロバート・パーカーボルドー第3版」より引用】

 

⑤「シャトー・タルボ」を飲んで、人生がどのように変わりましたか?

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どれだけタルボの素晴らしさを引き出せるかは、私の向き合う姿勢で決まる

 愛情を持って心から向き合っていると、人だけでなくモノ(万物)に伝わる!ということがよく分かりました。

 ワインを比較して良い悪いと評価するのではなく、注がれた一杯に真摯に向き合い、その変化を愉しむ。時間の経過とともにどんどん表情を変えるタルボを、最後まで愛でていく。そして、どこまでそのタルボの素晴らしさを引き出せるかは、飲み手である私の、ワインに向き合う姿勢であることを感じました。

 

 今回のシャトー・タルボ1985のワイン会は、EXPLORERS CLUB ファウンダーのKATO氏とご一緒することができました。その中で、シャトー・タルボ1985のエチケットやコルクが、比較的新しいものだったため「本物かな?」という話題も出ていましたが、「このワインが本物でも偽物であっても僕にとってはどちらでも愉しい」と仰るKATO氏のその生き方。そして「この一杯で人生を変える!」という覚悟。

 

⑥「シャトー・タルボ1985」に出会う前のあなたにとってワインとは?

 オシャレな飲み物。お酒自体そんなに好きではありませんので、ワインを飲む人もいるんだな〜と思っていました。私が飲むといえば、結婚式などパーティーに行った際に、ちょこっとだけ頂く程度でした。

 

⑦今の馬渡さんにとってワインとは?

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オールドヴィンテージワイン。紳士淑女には必須なものです。

 素敵なジェントルマンとかマダムに必須のアイテムという感じです。人生を豊かにするとか、人生を愉しむために、無くてはならないものだと思います。

 これまで何度か EXPLORERS CLUB 主催のワイン会に参加させて頂きました。

  • 「シャトー・ディケム1990(Château d'Yquem)」
  • 「シャトー・ラフィット・ロートシルト1995(Château Lafite-Rothschild)」
  • 「シャトー・ランシュ・バージュ1945(Château Lynch Bages)」

など。

 

 今だから気が付けたのですが、錚々たるワインたちです。EXPLORERS CLUB 主催のワイン会に並ぶオールドヴィンテージワインが、参加されているジェントルマンやマダムにピッタリな飲み物だと思います。

 ワインは、何十年と熟成されていても抜栓した瞬間から死んでいきます。もし自分がワインだったら、ただ「美味しい、、、」だけしか言えないような人に飲まれるより、美しい時間を作り、その空間でワインを素敵に表現してくれるようなジェントルマンやマダムに愉しんで頂き、魂を次の世代へ受け継いで欲しいです。

 だからこそ、オールドヴィンテージワインからも愛される人格にならなくてはいけないと思います。


⑧これからオールドヴィンテージワインを愉しむ人に向けて

 オールドヴィンテージワインを愉しむには、一緒に飲む仲間と良いワインが大切です。ただワインを飲むだけでなく、ワインの造り手がどういう想いで作ったのか?というところまで感じ、想いを馳せ、表現したいことを一本のワインで感じようという生き方(姿勢)が大事です。もっと言うなれば、この一本で「人生を変えよう!」と本気で想い行動することで、もっと愉しめると思います。

「インタビュアー 山下裕司:WRITING 落合予示亜 」

 

●【最後に 】

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 インタビュー記事中に出てくるエクスプローラーズクラブが主催するワイン会は、一本のオールドヴィンテージワインだけを10名ほどのメンバーでじっくり愉しみ、知識や感想を共有し、お互い学びを得ながら上質で美しい時間を形成する会です。福岡地区のワイン会はインタビュアーでもある山下が開催しています。

 EXPLORERS CLUBでは、全国に地区(支部)があり、地区でのワイン会を開催しています。

 メンバーになると全国で開催されるワイン会にもご参加いただくことが可能です。EXPLORERS CLUB 福岡では不定期ですがクラブメンバー以外の方にもご参加いただけるオールドヴィンテージワイン会を開催しています。

 こちらの申し込みフォームにご登録いたただきますと『次回の開催案内』をメールにてご連絡させていただきます。

 EXPLORERS CLUBの『詳細&ご入会』はこちらです。

 

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