【私の人生を変えた一本のワインNo.44】シャトー・パルメ1996
- 私の人生を変えた一本のオールドヴィンテージワイン
- 本日インタビューしたのは、この方
- ①人生を変えた一本のオールドヴィンテージワインは、何ですか?
- ②なぜ、「シャトー・パルメ1996」を選んだのでしょうか?
- ③どんな抜栓だったんですか?
- ④シャトー・パルメは、どんな香りでしたか?
- ⑤一口目は、どんな印象でしたか?
- ⑥「シャトー・パルメ」を飲んで、人生がどのように変わりましたか?
- ⑦「シャトー・パルメ」に出会う前のあなたにとってワインとは?
- ⑧今の久保さんにとって、ワインとは?
- ⑨これからオールドヴィンテージワインを愉しむ人に向けて
- ●【最後に 】
私の人生を変えた一本のオールドヴィンテージワイン
この『死ぬまでに飲みたい!おすすめオールドヴィンテージワイン』ブログにお越しいただき、ありがとうございます。
突然ですが、あなたには「人生を変えた一本のワイン」がありますか?大切な人と一緒に記念日に飲むワイン、尊敬する人に薦められたワインなど、あなたにとって特別なワインは何か?
ではなく、、、
本当にそのワインがきっかけで人生を変えたワインをインタビューしてご紹介するシリーズです。それぞれの「人生を変えた一本のワイン」をご紹介しています。
本日インタビューしたのは、この方
久保 有規依さん(経営コンサルタント)
EXPRORLERS CLUB パワースポット部部長。EXPLORERS CLUB 音楽部では、ビッグバンドオーケストラの一員としてチャリティコンサートやガラパーティーで演奏活動を行なっている。
①人生を変えた一本のオールドヴィンテージワインは、何ですか?
『シャトー・パルメ(Chateau Palmer)1996』です。
※シャトー・パルメ(Chateau Palmer)とは?
17世紀から続くシャートー・パルメ(Chateau Palmer)。当時はシャトー・ド・ガスクと呼ばれていたが、ナポレオンを破ったウェリントン将軍の幕僚の一人であるイギリス将官チャールズ・パーマー(パルメ)氏がシャトーを取得し、名称を変更し現在にいたる。
ワイン好きな王として有名だったイギリス王ジョージ4世が、お気に入りのワインとして愛飲していたシャトー・パルメ。
漫画「神の雫」第二の使徒に選ばれたワインであり、作中ではレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「母なるモナ・リザ」に喩えられ、優しさやふくよかさなど女性的なワインと表現されている。
メドック格付け第三級でありながら、マルゴーを表現するワイナリーとして高い評価を受けており、格付け第一級のシャトー・マルゴーに匹敵するとも言われている。
※1996年(平成8年)の出来事
②なぜ、「シャトー・パルメ1996」を選んだのでしょうか?
シャトー・パルメ1996は、人を素直に従順にさせる。そんなワインでした。伸び伸びとした自由な女性のイメージで、豊潤な香りのワイン。でもボトルの下の方は、香りを探さないと香りを感じない。「同じボトルでも上下でこんなにも違うのか?」と思うほどです。先ほどまで感じた豊潤な香りは、そこにはないけれど、残していった豊潤の余韻には包容力がありました。
不思議なことに、シャトー・パルメを飲み、身体に受け継いだ後、その影響と感じるエレガントな出来事が何度も訪れました。それは「シャトー・パルメ1996」が、私の中で生きているからなんだと思います。
これまでも、オールドヴィンテージワインは何度か頂きましたが、記憶として印象として残っているものの、体感としてここまでの変化を感じることは初めてでした。人生を大きく変えたワインということで「シャトー・パルメ1996」を選びました。
③どんな抜栓だったんですか?
「シャトー・パルメのような芯のある素敵な女性になりたい」と、ワインと向き合うための準備をしてきた女性が、“参加メンバーの人生も変える”という想いのもと抜栓がスタートしました。ソムリエナイフのスクリュー(螺旋針)が斜めに入っていき、コルクの1/4を残したところで切れてしまいます。
しかし彼女は芯の通った女性でありたいという姿勢を崩すことなく、シャトー・パルメと向き合い対話し、その息吹を感じながら、見事に抜栓を成功させました。最初は緊張もあったと思いますが硬かった表情が、コルクが千切れてもパルメと分かち合えたという喜びに満ち溢れた表情に変わっていました。それは準備をしっかりとしてきたからだと思います。
④シャトー・パルメは、どんな香りでしたか?
抜栓でコルクが折れた瞬間から、フローラルで軽めだけど、とても豊かな華やさが会場全体に広がっていく感じ。豊潤な香りが、さざ波のように、心地よく拡がるイメージでした。
⑤一口目は、どんな印象でしたか?
パルメ自体も素直で従順な感じでしたが、人を素直に従順にさせるようなワインでした。口に含んだ瞬間、ス〜ッと伸びやかに体内に入っていく。ワイン評論家のロバート・パーカー氏は、この「シャトー・パルメ1996」を88〜91点と評価しています。
パルメもようやく新機軸のワイン製造機に投資するようになった。温度調節されたステンレス・タンクや、印象的な新発酵所(キュヴェリー)などがそうである。
カルベネ・ソーヴィニョン55%、メルロ40%、プティ・ヴェルド5%のブレンドで、力強くて濃厚で内向的なこのワインは、1986年ものを思わせる。メルロの割合が高く、まだ完全に肥えていないために、よけいに判断が難しい。体格はすばらしく、ミディアムボディからフルボディ、筋肉質で豊かなクラレットだ。
複雑さと少々の重みがつけば、傑出したパルメになるだろう。最上のヴィンテージよりも初期の魅力に欠けるが、長い目で見るべきだ。
一口目は、まだまだ開いた感じはなく、30代の華やかだけど爽やかなサッパリした感じの女性というイメージ。ワイン会をオンラインの配信で見ていて、それを察したEXPLORERS CLUB ファウンダーのKATO氏から、「このタイミングでスワリングしよう!」とご提案があり、強めにスワリング。すると、とても甘くまろやかに。50代の包容力があるマダムに見守られている感じに大きく変化。その時の振れ幅の大きさは、今までもハッキリと覚えています。
最初は素直で従順で爽やかなワインだけれども、何かをきっかけに変化して、マダムのような柔らかい女性に変わっていく。こんな経験をすると、自分自身も変化をさせないといけないんだと思い知らされます。
ちなみに九星気学で1996年は、四緑木星といって風や空気を象徴する年なんです。だから実は「シャトー・パルメ1996」は、自分の誕生した時の感覚を私たちと共有したくて、KATO氏を通して「スワリングしてほしい」と伝えてきたのではないかと密かに思っています(笑)
もっと、ワインが伝えるメッセージやエネルギーを純度高く受け取り、より多くの良いワイン(シャトーとヴィンテージと人)を経験したいです。
⑥「シャトー・パルメ」を飲んで、人生がどのように変わりましたか?
漫画「神の雫」の作中でシャトー・パルメは、母なるモナ・リザに喩えられ、優しさやふくよかさなど女性的なワインと表現されています。『モナ・リザ』といえば、イタリアの美術家レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた世界で最も有名な油彩画です。
この「モナ・リザ」では、レオナルド特有の輪郭を描かないスフマート方法(ぼかし技法)が使われています。輪郭線をはっきりと描かないんです。だって「自然界に線なんてない!」からです。輪郭線を描かず空気(陰影の移り変わり)を描くことで表現しています。
完璧主義者と言われたレオナルドは、自然界には無い「輪郭の線を描く」のではなく、じっくりと時間をかけて熟考し、何層も何層も薄く色を重ね、自然な空気(陰影の移り変わり)を表現していきました。
社会でまかり通っている”嘘”を描くのではなく「本物」を描いてるんですよね。
そんな「モナ・リザ」に喩えられるような偉大なワインです。背筋がピンっと伸び、もっと自由にもっと包容力と躍動感を併せ持った女性でありたいと、淑女としての生き方にスイッチを入れてくれます。
シャトー・パルメが、スワリングによって一気に表情を変えたように、自分の古い習慣を捨て、ニューワールドに向けてどんどん道を拓きたいと強く想います。そして常に先を行き、エレガントな余韻を周囲に残し、新しい世界へ旅立つ風のような生き方をするのだ、と再認識したワインになりました。
「シャトー・パルメ1996」は、私にとっては、憧れという存在ではなく同志という存在に感じています。スワリングする前は妹で、スワリング後はお姉ちゃんのような存在。この急激な変化。私自身も、今日一日の中でも急成長して大きく変化しなければならないと思わせてくれる。何かの節目ごとに飲みたい。そんなワインです。
⑦「シャトー・パルメ」に出会う前のあなたにとってワインとは?
カッコいい飲み物というかファッション感覚な飲み物でした。オーガニックワインやいろいろな国のデイリーワインを飲み、食卓には必ずワインでしたが、ソムリエのような知識も無いですし、ワインそのものの深い意味などは分からなかったので、いつもは「赤の飲みやすいワインで、、、」という感じ。
ただ雰囲気で選んでいました。ワインに対して、強い意志は持っていませんでした。
⑧今の久保さんにとって、ワインとは?
私にとっては「人生になくてはならないもの」です。ワインは人と同じで、その出会いが人生を彩り豊かにしてくれます。ワインを評価するような生き方ではなく、ワインと一緒に愉しむ人生を歩みたいのです。
今までは、ただただなんとなく選んでいました。そんなヴィンテージやシャトー、造り手のことなど一切考えたこともなく、ただただなんとなく。ワインそのものに深い意味など求めても意味がないと思っていましたので、何となく味が落ち着く、炭酸ではなくウイスキーでもない時に飲むという感じでした。
今、改めて振り返えると、自分で考えたように生きてきた人生だと思っていたのに、「ただなんとなく」社会の常識に擦られた生き方をしていたのだと理解できました。
ワインは、出会いであり、未来の象徴であり、ラグジュアリーであるべきものです。ラグジュアリーは、「上に向かって生きる人のマナー」だと思いますので、そのワインに相応しい人格になるべきですし、ワインを一緒に愉しむメンバーに相応しい人格にならなければいけないと思います。
⑨これからオールドヴィンテージワインを愉しむ人に向けて
良いワインを飲んで欲しいです。良いワインとは、歴史があり、造り手があり、大地や自然があり、そこには天地人がある。ストーリーがあればあるほど、良いワインだと思います。その歴史を継承されるワインの意志を受け継いで、深い知識に問わず、とにかく想うままに愉しんでほしいです。
きっとそこには愉しいストーリーがあるはずです。あなたが出会ったストーリーは、あなたの人生を大きく変える可能性があります。
「インタビュアー :WRITING 山下裕司」
●【最後に 】
インタビュー記事中に出てくるエクスプローラーズクラブが主催するワイン会は、一本のオールドヴィンテージワインだけを10名ほどのメンバーでじっくり愉しみ、知識や感想を共有し、お互い学びを得ながら上質で美しい時間を形成する会です。福岡地区のワイン会はインタビュアーでもある山下が開催しています。
EXPLORERS CLUBでは、全国に地区(支部)があり、地区でのワイン会を開催しています。
メンバーになると全国で開催されるワイン会にもご参加いただくことが可能です。EXPLORERS CLUB 福岡では不定期ですがクラブメンバー以外の方にもご参加いただけるオールドヴィンテージワイン会を開催しています。
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