死ぬまでに飲みたい!おすすめオールドヴィンテージワイン

【 時代を越えて受け継がれるオールドヴィンテージワインを飲んだ方々の体験談をご紹介しています 】

【私の人生を変えた一本のワインNo.21】シャトー・モンローズ1929

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【シャトー・モンローズ1929】

私の人生を変えた一本のオールドヴィンテージワイン

 この『死ぬまでに飲みたい!おすすめオールドヴィンテージワイン』ブログにお越しいただき、ありがとうございます。 

  突然ですが、あなたには「人生を変えた一本のワイン」がありますか?大切な人と一緒に記念日に飲むワイン、尊敬する人に薦められたワインなど、あなたにとって特別なワインは何か?

 ではなく、、、

 本当にそのワインがきっかけで人生を変えたワインをインタビューしてご紹介するシリーズです。それぞれの「人生を変えた一本のワイン」をご紹介しています。

本日インタビューしたのは、この方

西川 彩実さん(ファッションモデル・イラストレーター・ブロガー)

世界最高峰の舞踏会 モナコ公室主催 2019年『薔薇の舞踏会』出席。ビックバンドオーケストラのトランペット奏者として、モナコ公国で開催されるガラパーティーや、サントリーホールなどで演奏。モナコセルビア王家のパーティーに出席。

 

①人生を変えた一本のオールドヴィンテージワインは、何ですか? 

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シャトー・モンローズ1929

2019年1月にEXPLORERS CLUB主催のワイン会で飲んだ『シャトー・モンローズ1929』90年前のワインです。

※シャトー・モンローズ(Chateau Montrose)とは?

シャトー・モンローズ(Chateau Montrose)は、「サン・テステフ最高のスーパーセカンド」や「サンテステフシャトー・ラトゥール」と評されることもあるシャトー・モンローズ。格付け第2級シャトーの中でも特に素晴らしい品質を持つスーパーセカンド。

モンローズという名は、この地に植えられていたヒースが開花時期になると辺り一面に薔薇色に染まったため、フランス語で“山”を意味する「mont」と、“薔薇”を意味する「rose」を組み合わせ、名付けられたのだそう。

メドックでも特に最高の立地とされる、ジロンド河のすぐ側に位置するシャトーの一つ。ワインの特徴は「力強く長期熟成に向く」重厚な造り。

※1929年(昭和4年)の出来事

内閣総理大臣は、立憲政友会田中義一氏→立憲民政党濱口雄幸氏へ。

 

②なぜ、『シャトー・モンローズ1929』を選んだのですか?

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大好きな1920年代のアール・デコ・スタイル

今回のワイン会は「1920年代」というドレスコードの指定だったんです。それで1920年代、当時のファッションを調べていくと、F・ スコット・フィッツジェラルドの小説を映画化した『華麗なるギャツビー(The Great Gatsby)』の時代で、ヴォーグとか見たりしたんだけど、アール・デコ・スタイルは、すっごいカッコイイんですよね。

 1929年の雑誌「VOGUE」当時は表紙がまだ写真ではなくイラストで、それを見て私はときめいてしまって「ギャッツビーだぁ!!!」という感じで、テンションUP。それで『シャトー・モンローズ1929』のことを調べるのも愉しくなりました。

 

1929年といえば、世界恐慌の始まる前の年で、街も賑やかで、綺羅びやかで、夢に溢れていた。まさにギャッツビーという感じの時代で、参加者みんなが1920年代のファッションで参加されてて、ワイン会の開催前から「創り上げたワイン会」になったんです。ワインだけではなく、ファッションからも創り上げていくワイン会でした。

 もちろん『シャトー・モンローズ1929』はすごく美味しくて、オールドヴィンテージワインを愉しむようになってから、そのワインの美味しい飲み頃を飲むと、幸せな気持ちになるというのが感覚があって、考えたときに「これは恋だな、、、♡」って思ったんですよね。このモンローズに対する恋ですね。

好きな人のことって、いろいろと知りたくなるじゃないですか。そういう感覚と似てるというのを飲んだ時に感じたんです。

 

③抜栓の様子はどうだったのですか?

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抜栓前にカビをこさぐ様子

抜栓のときは、耳をすませたら”キュウウ”と聞こえるようなコルクが抜ける音が微かにしてて。その後、私が感じたのは花の香りの中にチョコレートのビターな香りがしたんです。香りも濃厚な。お花なんだけど、チョコレートのようなビターな香りでした。それがすごい美味しくて。

 

④一口目はどんな印象でしたか?

一口目は、エレガントなマダムでした。年齢でいえば90歳のワインですが、年上のカッコいいマダム。

飲んでいくうちに女性としての魅力を感じました。最後の澱(オリ)の手前を残して、みんなで一口づつ飲んだんです。もう抜栓して40分くらい経っていましたが、すごく凝縮された濃厚な味でした。私もこんなカッコいいマダムになりたいと思いました。

 

⑤モンローズに出会って、人生変わったことや、気付きなどありますか?

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仲間とオーケストラでトランペットを演奏する人生に

『シャトー・モンローズ1929』のワイン会で、参加者がそれぞれのモンローズを調べていて、最高の状態だと思ったんです。このメンバーでモンローズを飲むと、ワインも喜んでいると感じたんです。こんなワイン会は、生まれて初めてだったんです。オールドヴィンテージワインである『シャトー・モンローズ1929』は、時間おくとどんどん味が変わっていきます。それで一瞬一瞬をちゃんと真剣に生きようと突きつけられたワインです。

 

恋するモンローズのことを常に考えていたから、モンローズの気持ちを感じ取れたんだと思います。モンローズの価値が最大限高められるように、1920年代当時のファッションしたり、一人づつ調べてきた事をみんなでシェアし合ったり、モンローズがどう飲んでほしいのか?というのを考えていました。調べてなかったら、ただ「美味しいね!幸せだね!」だけで終わってたと思うんです。

 

モンローズに出会う前は、そんなこと考えれませんでした。だから、そういう一瞬一瞬を大事に思える自分になりたい!一瞬一瞬を大切に生きようと思いました。人生に対する向き合い方を変えるきっかけを作ってくれたのが、このモンローズです。

 

⑥このモンローズに出会う前、ワインってどんな存在でした?

その前からオールドヴィンテージワインはワイン会などで飲んでいて、とても魅力を感じてはいましたが、その時代のファッションや、好きな物を通してワインの事を調べたりした事はなかったんです。

 

今までは、そのワインの”今”しか見れなかったと思います。ワインから歴史を感じる愉しさも知りませんでした。昔のワインを飲んでいるのはわかっているんですが、ただ時間が経ち熟成され、ただ「美味しいな♡」くらいにしか思っていませんでした。

一方的に自分が好きとか嫌いで、ワインを評価していたと思います。こんなに現在と過去を繋げるものという意識も無かったし、「ワインがどういう風に飲まれたら嬉しいかな?」っていうのは、今回初めて感じた思いでした。

 

⑦モンローズ1929と出会って、ワインとはどんな存在になったのでしょうか?

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シャトー・モンローズ

私にとってオールドヴィンテージワインは、一期一会です。

やはり同じヴィンテージ(年代)でも、数万本生産されていますし、保管状態によって全く別物に変わってきますので、同じ年代でもボトルごとに変わります。その時の自分の状態や、一緒にワインを飲むメンバーとか、抜栓とか、愉しむ場所、飲み方など、すべてが揃わないとその味は味わえません。一つでも違うと、全く違う別ものになります。

 

私は1920年代という時代がすごく好きなんですが、2019年1月という、このタイミングで『シャトー・モンローズ1929』に出会えた。恋したワインです。

でも出会うタイミングが違うと恋してないかもしれない。人への恋の気持ちも、ちょっとタイミングずれたりしたら恋にはならないですよね。だから一瞬一瞬真剣に生きて素敵なワインとまた出逢ったら、そのワインと真剣に向き合いたいって思います。

 

⑧1929年ものの「現在90歳のモンローズ」どんな印象だったんですか?

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90歳のモンローズはマダムでした

私が恋したモンローズは、憧れのマダムのイメージでした。

でも性別は関係なくて、このワインはどうすれば嬉しいかな。このワインはどう飲んでほしいと思ってるかな?どんな人に飲んでほしいかな?って考える事が、私は恋した時に相手に感じる感情と似ていると思いました。好きな人のことは、もっと知りたくなるし、喜んでほしい。

なのでこの『シャトー・モンローズ1929』の年代である1920年代のファッションを知ったり、モンローズのことを調べて敬意を持って飲む事が、自分や、一緒に飲む仲間の愉しみであり、それでワインの価値も上がるのだと思います。

 

⑨これからオールドヴィンテージワインを愉しむ人に向けて

今までワイン会を開催するとき「お勉強」みたいな感じで知識を詰め込んでいたんです。

例えば、何年のワインで、ブドウは何で、、、みたいな、一応調べとかなきゃいけないという意識で、どこにでもある知識を調べてたんです。こうなっちゃうとワイン会への興味が薄れてしまいます。でも今回の『シャトー・モンローズ1929』を愉しめたのは、”ファッション”というキーワードがあったからです。

 

ですので、自分の好きなジャンルからワインを考えてみると良いと思います。車が好きな人なら、1920年代の車を調べてみるとか。私はファッション好きなので、1920年代のファッションからワインについて調べたので、すごく愉しめました。

まだそこまでワインに興味のない人は、自分の好きなものが、その年代にどうだったのか?を調べると、すごく愉しめると思います。自分の興味あるとこから入るとすごく愉しめますね。そういう目線で聞くと、他の人が興味を持って調べてきた話しとかも面白くて、そのワインを通して人生の幅が広がります。

そして、自分とそのワインの出逢いは奇跡なので、愛情を持ってワインを感じてほしいです。きっと恋するワインに出逢えますよ。

【西川 彩実さんのインタビューを終えて】

今回のインタビューを終えて感じたことは、ファッションが好きだからワインと出会った。ワインが好きだからワインを愉しむということではなく、そのファッションの時代には、モンローズが必要だった。だから興味を持ち、恋に落ちた。こういう出会いも素敵ですね。

どこで、どういう出会いがあるかわからない。一期一会の出会いを大切に積み重ねていきたいものです。改めて、素敵な気付きをありがとうございました。

「インタビュアー 山下裕司:WRITING 山下裕司、吉野奨」

 

 

●【最後に 】

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 インタビュー記事中に出てくるエクスプローラーズクラブが主催するワイン会は、一本のオールドヴィンテージワインだけを10名ほどのメンバーでじっくり愉しみ、知識や感想を共有し、お互い学びを得ながら上質で美しい時間を形成する会です。福岡地区のワイン会はインタビュアーでもある山下が開催しています。

 EXPLORERS CLUBでは、全国に地区(支部)があり、地区でのワイン会を開催しています。

 メンバーになると全国で開催されるワイン会にもご参加いただくことが可能です。EXPLORERS CLUB 福岡では不定期ですがクラブメンバー以外の方にもご参加いただけるオールドヴィンテージワイン会を開催しています。

 こちらの申し込みフォームにご登録いたただきますと『次回の開催案内』をメールにてご連絡させていただきます。

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