【私の人生を変えた一本のワインNo.36】ピション・ラランド1981
- 私の人生を変えた一本のオールドヴィンテージワイン
- 本日インタビューしたのは、この方
- ①人生を変えた一本のオールドヴィンテージワインは、何ですか?
- ②なぜ、「シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド1981」を選んだのでしょうか?
- ③どんな抜栓だったんですか?
- ④どんな香りでしたか?
- ⑤一口目はどんな印象でしたか?
- ⑥ピション・ラランド1981に出会い、人生がどう変わりましたか?
- ⑦ピション・ラランドに出会う前の山下さんに、とってワインとは?
- ⑧今の山下さんにとって、ワインとは?
- ⑨これからオールドヴィンテージワインを愉しむ人に向けて
- ●【最後に 】
私の人生を変えた一本のオールドヴィンテージワイン
この『死ぬまでに飲みたい!おすすめオールドヴィンテージワイン』ブログにお越しいただき、ありがとうございます。
突然ですが、あなたには「人生を変えた一本のワイン」がありますか?大切な人と一緒に記念日に飲むワイン、尊敬する人に薦められたワインなど、あなたにとって特別なワインは何か?
ではなく、、、
本当にそのワインがきっかけで人生を変えたワインをインタビューしてご紹介するシリーズです。それぞれの「人生を変えた一本のワイン」をご紹介しています。
本日インタビューしたのは、この方
山下 裕司さん
サクソフォーン奏者。在籍メンバー430名を超えるEXPLORERS CLUB福岡地区の地区代表。2018年1月モナコ公国の『Hotel Hermitage Monte-Carlo』で行われたガラパーティーに、アミチエ ソン フロンティエール インターナショナル ジャポンの代表としてテナーサックスを演奏。「和制作所」を運営。
①人生を変えた一本のオールドヴィンテージワインは、何ですか?
シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド1981(CH.Pichon Longueville Comtesse de Lalande)です。
※シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド(CH.Pichon Longueville Comtesse de Lalande)とは?
ボルドー格付け第一級シャトー・ラトゥールに隣接する、ポイヤック髄一の立地。17世紀まで遡ると、「ピション・バロン」と「ピション・ラランド」は一つのシャトーでしたが、当時の当主が相続のためにシャトーを5人の子供たちに分割。ピション・ラランドを受け継いだのは姉妹。
ポイヤック村のなかでも一貫して輝くばかりのワインを造り続けている、非常に人気の高いシャトー。
ポイヤックの中で最も華やかで優美な格付け1級シャトーに肩を並べる「スーパーセカンド」として、洗練されたエレガンスと力強さを秘めた、そのしなやかなスタイルは「ポイヤックの貴婦人」として称えられる優美な味わい、そして甘美で魅惑的な風味が広がる。長年ボルドーファンに愛され続けられるワイン。
※1981年(昭和56年)の出来事
アメリカ合衆国のスペースシャトル「コロンビア号」が打ち上げ成功。英国チャールズ皇太子とダイアナ嬢が結婚。フロンティア軌道理論で福井謙一氏がアジア初のノーベル化学賞を受賞。寺尾聰氏の「ルビーの指環」が大ヒット。バラエティ番組『オレたちひょうきん族』が放送開始。
②なぜ、「シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド1981」を選んだのでしょうか?
人生で初めてのオールドヴィンテージワインでした。このピション・ラランド1981を飲んで「一本のワインで人生は変わる」というのを知ったからです。
これは2017年2月に EXPLORERS CLUB が主催するワイン会で、ファウンダーであるKATO氏が、参加している女性ゲストからのリクエストに答える形で選んだワインが、ポイヤックの貴婦人と言われる、この「シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド1981」でした。
「上質なオールドヴィンテージワイン一本をじっくり味わうワイン会」は、大袈裟でもなく「人生を変えるワイン会」だと言えます。これからの人生で、あと何回そんなワインに出会えるか?そんなワインに相応しい自分なのか?そう考えると、生き方が変わります。
③どんな抜栓だったんですか?
「ピション・ラランド1981」を購入して抜栓するまでの約6時間。振り返ると、この6時間は澱(オリ)を沈殿させるという目的もありましたが「ピション1981と、どう愉しむか?」ということを教えて頂きながら、飲む準備をしていた時間でした。
実際の抜栓は、コルクと呼吸を合わせるように、ソムリエナイフのスクリューの角度を確かめながら差し込み、そして1ミクロンずつ慎重に慎重に、じっくりじっくりと抜いていく。それは、ワインと分かち合っているような時間。
抜栓開始から30分で、コルクの頭が1mmほど見えるくらい抜けた状態。そう簡単にポイヤックの貴婦人は心を開いてくれません。この抜栓の時間の全てが美しい時間でした。
④どんな香りでしたか?
コルクの写真は、美しい抜栓により、引き伸ばされたと思われるコルク。下が1時間の格闘の末、姿を現したピションのコルクです。伸びているのが分かりますね。
抜栓始めて1時間、少しずつ少しずつ、心を開いてくれるポイヤックの貴婦人。コルクが引き上がる度に、女性らしい優雅な甘い香りが、馥郁たる甘い芳香を放って会場が満たされていました。
なんとも言えない甘い、今までに体験したことのない果実の甘美な香りが、ふんわり漂ってきて、「は〜」と溜息のような声があちこちであがりました。それは抜栓後も続き、どんどん香りの濃度が増してきていました。まさに匂い立つような美しい貴婦人。エレガンス(Elégance)という言葉がしっくりくる香り。僕は完全に惚れました。
⑤一口目はどんな印象でしたか?
オールドヴィンテージワインを口に含んでみると、こんなに美味しいワイン、初めて飲んだ!とビックリするにくらい、美味しかったんです。口触りはとても優しく滑らかで、少しの酸味が優しいだけじゃない芯の強さを感じさせ、高貴な香りはまさに貴婦人でした。
ワイン評論家のジェームス・ターンブルは「ボルドーの赤ワインを飲んだ経験のない人のために、ボルドーの性格を最上に表現するワインを1本だけ選ぶとすれば、『シャトーピションロングヴィル・コンテス・ド・ラランド』を選ぶのが、きっとベストの選択だろう。
と言われるほどのワインです。一度口に含んだら、その貴婦人と、もっと時間を過ごしたい。他人に邪魔されたくない、そんな感じ。他のものは口に入れたくない。時間が経つにつれ酸味が柔らかくなり、心を許してくれたポイヤックの貴婦人と、さらに分かち合えました。
ただ、最初の印象と、最後の印象が全く違うものになっていました。時間が経たつほど、さっきまで凛としていた貴婦人が、しっとり甘えてくるような女性に変わっていくのですから。僕はもうメロメロ。完全に恋に落ちました。時間が立つにつれ、グラスの中のワインが昇華して、大きな変化を遂げていくのには、驚きました。
⑥ピション・ラランド1981に出会い、人生がどう変わりましたか?
とにかく「ワインは愉しいもの!」ということにを知りました。『一本のワインで人生は変えられる』これは本当です。ワインを飲むだけではなく、ワインとどう愉しむか?が、EXPLORERS CLUB が主催するワイン会の醍醐味。
今回、ファウンダーのKATO氏とワイン選びからご一緒させて頂いたのですが、異次元の成功者が「ワインで遊ぶ」ということの意味を一つ教えていただけた貴重な時間でした。
今回のワイン選びは、、、
- 購入予算制限あり
- 当日ワインショップで購入する
- 女性ゲストからのリクエストで「私のためのワインを購入して欲しい」
というワイン選びでした。
リクエストがあった、その女性に「どんなメッセージを伝えるか?」というワイン選びは、人生観が変わるほどの楽しい紳士の遊びでした。ワインを通してメッセージを伝えるなんて。そんな粋な遊びを知らなかった僕には、愉しかった!!
ワインも赤か白しか知らない、ワインセラーに行ったこともなかった僕は、ワインセラーに行って、並ぶオールドヴィンテージワインを見てるだけでも楽しかった。KATO氏がワインを選ぶ姿がカッコいいのです!そして、どういう視点を持って選ぶのかを知るのも、これまた非常に愉しかった。その時の僕は、新しい遊びを覚えた少年のように目をキラキラさせていたと思います。
⑦ピション・ラランドに出会う前の山下さんに、とってワインとは?
今まで、ビールに焼酎を飲んでいましたが、それらは全て酔うためのツールでした。会社の飲み会などもよく参加していましたが、酔って大騒ぎするのが好きだったんですね。普段のストレスを発散させたかったんだと思います。
⑧今の山下さんにとって、ワインとは?
「ピション・ラランド1981」に惚れましたからね。僕にとって、ただの洒落たアルコールだったワインが、恋愛対象に変わりました。だから、ワインは評価するものではなくて、良いところを見つけようとしますし、もっと愉しめるように、ワインをもっと美味しくできるような人格にならなくてはいけないと思います。
恋い焦がれて、一つになって、恋が成就する。
そういうワインにもっと出会いたいです。そう考えると、一本一本のワインとの出会いは大切です。だからワインを飲む前に、そのワインについて調べます。大好きな人との想い出がいつまでも残るように、ワインを飲んだ記憶も残し続けたいから。
⑨これからオールドヴィンテージワインを愉しむ人に向けて
実は、今回飲んだ「ピション・ラランド1981」の空きボトルは、家で大切に保管しています。
ちなみに、この「ピション・ラランド1981」は、1999年2月に発行されたワイン評論家のロバート・パーカー氏著書『ボルドー第3版』によると、このように書かれています。
89点。ピション・ラランドは常に、1981年のヴィンテージの最もセクシーで最も美味しいワインのひとつだ。ルビーから紫の色をまだ兼ね備えている1981年は、1982年や1983年ほど力強くはないが、豊富な甘いブラックカランドの果実味、このヴィンテージにしてはよい肉付き、それに純粋な、柔軟な舌触りとバランスのとれたスタイルを見せる。このワインはまだ若々しい。
すごいワイン評論家の人が言うんだから間違いない、、、。と思ったあなた。いやいやいや。それは一つの意見として捉えて、大事なのは「自分がどう愉しむか?」です。先に愉しむことを決めて、そのとおりに愉しむことが大事です。
だからこそ、僕は大好きな人(ワイン)との想い出がいつまでも残るような愉しみ方をするのです。惚れたワインのボトルを飾って、思い出しながらワインを飲むというのも楽しいですよ。
「インタビュアー:落合予示亜 WRITING:上堀内弘樹」
●【最後に 】
インタビュー記事中に出てくるエクスプローラーズクラブが主催するワイン会は、一本のオールドヴィンテージワインだけを10名ほどのメンバーでじっくり愉しみ、知識や感想を共有し、お互い学びを得ながら上質で美しい時間を形成する会です。福岡地区のワイン会はインタビュアーでもある山下が開催しています。
EXPLORERS CLUBでは、全国に地区(支部)があり、地区でのワイン会を開催しています。
メンバーになると全国で開催されるワイン会にもご参加いただくことが可能です。EXPLORERS CLUB 福岡では不定期ですがクラブメンバー以外の方にもご参加いただけるオールドヴィンテージワイン会を開催しています。
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